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朝鮮戦争に参戦したのは中国人民「志願軍」──「義勇軍」ではない

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月30日 16時50分

中華人民共和国が決して日本軍を打倒して誕生した国でないどころか、毛沢東は日本軍と密通して、日本軍と戦っている国民党軍を弱体化させ、共産党軍を強大化させたから中国共産党による国家が誕生したことは拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』で詳述した。

日本の関係者はもっと中国における「志願軍」と「義勇軍」との違いに神経を尖らせ、安易に「朝鮮戦争に参戦した中国の義勇軍は」などという、まちがった表現をしないように注意を喚起したいと思う。中国から逆に、日中戦争の歴史を知らないのかと日本を非難する口実を与えるようなことは避けたいからだ。

金正恩が中国人民志願軍と毛沢東の息子の墓を参拝

なお、朝鮮戦争の休戦協定締結65周年記念日である7月27日、金正恩委員長が中国人民志願軍と、朝鮮戦争で戦死した毛沢東の息子・毛岸英の墓を参拝したようだ。

北朝鮮はかつて中国人民志願軍や毛岸英の墓碑を粉々に壊して、中国への敵意をむき出しにしたことがある。

文化大革命における紅衛兵が金日成を「走資派(資本主義に走る者)」と批判したのを知った金日成が激怒したからだが、それに対して毛沢東は3年間、中朝国境を完全封鎖した。

その後、墓碑は修復されて、中朝も少しだけ仲直りしたが、中朝両国はこういった「憎悪」と「(表面的な)友誼表現」を繰り返している。

今は金正恩は、ともかく中国からの経済支援が欲しいし、一刻も早く国連安保理の経済制裁を解除する方向に中国が動いてほしいと切望している。だから、実に珍しく墓参をして、習近平国家主席に見せようとしたのである。


[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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