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「BRICS+」でトランプに対抗する習近平──中国製造2025と米中貿易戦争

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月10日 16時0分

3.「BRICS+」においては多国間貿易を堅持し、投資と貿易において自由化と利便性を発揮し、開放型世界経済を牽引する。

4.「BRICS+」朋友圏においては、「旅行(のビザ)、買い物、文化交流」などに関しても、電子通信を通して利便性を高め、自由貿易圏を形成していく。

5.われわれは断固、保護貿易や一国主義に反対し、互いに手を携えて「投資と貿易の自由化」に貢献し、共同体内での低関税や無関税を増やしていく(これは米中貿易戦争を仕掛けるトランプ大統領への声明として発せられている)。

なお、南ア(ヨハネスブルグ)以外に訪問した国々に関しては、「一帯一路」沿線国の港湾強化を狙う目的があった。特にセネガルに代表されるように、アフリカ西海岸まで「一帯一路」をつなぎ、アフリカ大陸ごと、中国が「頂こう」という魂胆だ。

トランプはなぜ「中国製造2025」にターゲットを絞ったのか

米中貿易戦争が互いに譲らない賭博のような様相を呈しており、それらに関しては日本の多くのメディアが報じているので、ここでは省略する。

ここではなぜトランプが中国に貿易戦争を仕掛けているのか、なぜ「中国製造2025」にターゲットを絞っているのかという、根本問題に関して触れたい(もちろん中間選挙など色々な他の要因もあるだろうが、ここでは「中国製造2025」を中心に考察する)。

「中国製造2025」というのは、説明するまでもないとは思うが、「メイド・イン・チャイナ 2025」(以後、「2025」と省略)という意味で、2015年に決定した中国の経済戦略の一つである。

1990年代に入ると、中国は「世界の工場」としての役割を果たすようになり、3億近い農民工が東海岸に押し寄せて、低賃金で「メイド・イン・チャイナ」の製品を全世界に輸出するようになった。

最初のうちは「安かろう、悪かろう」だったが、中国のGDPが日本を越えた2010年辺りになると、農民工の賃金が上昇し、中国は「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌していく。



2014年、「国家新型城鎮化計画」(2014年~2020年)が発表され、農民工の出身地である内陸部を都市化して、沿海部の農民工を内陸の都市に戻していく政策が実行に移された。

それと同時に、製造に関する「量から質への転換」が推し進められ、「産業革命」の必要性に迫られた。なぜなら、低賃金労働に関しては東南アジアの発展途上国が中国に取り替わって「世界の工場」の役割を果たし始めて中国を追い込み、それでいながら中国の生産技術の多くは「借り物」であって、中国は依然として「組み立て工場」に過ぎなかったからである。

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