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トルコ通貨リラ急落を招いた、トランプの関税引き上げ「攻撃」

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月14日 16時40分

しかし収監者の交換をめぐって始まった両国の対立は、あっという間に双方に長期的な影響を及ぼしかねない危機へと変わった。リスク分析サービス会社コニアス・リスク・インテリジェンスの上級アナリストでトルコ情勢を専門とするマグダレナ・キルチネルは、こう指摘する。



「アメリカもトルコもこう着状態を打開するための戦略を見出しているようには見えないことから、両国間の緊張が近いうちに緩和される見込みは薄いだろう。トルコ政府にとって、重要なのはもはや『宗教関係者同士の身柄交換』によってギュレンをトルコに引き渡させることではない。経済政策の失敗がもたらした結果を、トルコに対する「経済戦争」の影響の一環だとイメージ転換し、エルドアン率いる公正発展党(AKP)と世俗派のナショナリストたちを政府の味方につけることだ」

さらにキルチネルは、「ブランソンの問題でトルコに対する圧力を強化するまでに1年以上かかった米政府にとっては、トルコに対して厳しい姿勢で臨むことが、今やすべての党派が納得する数少ない事案の一つになっている」と続けた。

確かに、深刻な経済危機に直面しているトルコにとって、アメリカとの外交トラブルは恰好のスケープゴートだ。エルドアンは通貨リラの急落について陰謀説を唱えており、トランプが10日にトルコ製の鉄鋼とアルミニウムに高率の関税を課すと発表したことは「世界が自分の足を引っ張っている」というエルドアンの主張を裏付ける結果になっている。

トランプは、関税引き上げを外交上の戦略として使う姿勢を見せている。トルコ製品に関税を課す今回の決定についても、両国の関係悪化にはっきりと結び付けている。

(翻訳:森美歩)

クリスティナ・マザ


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