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ハーレー不買運動を煽るトランプの危険な兆候 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月14日 18時10分



そこでは、革ジャンにタトゥー、そして髑髏マークなどに身を固めたアメリカの「バイク野郎」たちが一斉に「USA、USA」であるとか「さらに4年(大統領にもう一期やってほしいという意味)」などと叫びつつ、「ハーレーの不買運動」を呼びかけていたのです。

トランプ大統領はこれに同調していました。ハーレーダビッドソンのファンであるはずの、アメリカの「バイク野郎」たちが、ハーレーの悪口を叫び、アメリカの大統領が自国を代表するブランドの製品について「不買運動」を煽るという異常な光景がそこにはありました。

これに対して、アメリカの保守政治家として大統領候補にもなっているウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は「もちろん、反対だ」と述べています。というのは、ウィスコンシン州にはハーレーダビッドソンの工場があるからです。そして、アメリカ国内向けの製品については、これ以降もウィスコンシンを中心とした国内生産を続ける、同社はそのように表明しているからです。

大統領が扇動してハーレーの不買運動が起きれば、困るのはまさにウィスコンシンの人々であり、めぐりめぐってアメリカ経済が被害を受けます。テレビの経済専門局(例えばCNBC)では、「ハーレーを買うなというのなら、カワサキやホンダを買えというのか?」とキャスターが困惑した表情を浮かべていました。

大統領の作戦は単純で、「とにかく貿易戦争には勝つ」、そのためには「海外生産移行は敗北主義でありアメリカ・ファーストでない」ことをハッキリしたいというわけです。この「ハーレー問題」と同時並行で、トルコとの確執も激化しており、トルコの通貨リラの下落も発生しました。

中間選挙を控える中で、トランプ劇場はエスカレートし続けています。経済ナショナリズムもここまで単純化されると、差し迫った恐怖を感じます。こんなことを続けていれば、ある瞬間に「政権が経済の最大のリスク」という合意から株の大暴落が起きても不思議はないからです。

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