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女子学生殺害事件を移民排斥に利用するトランプ「だから壁が必要なのだ」

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月24日 15時0分

専門誌「ジャーナル・オブ・エスニシティ・イン・クリミナル・ジャスティス」に掲載された大規模な統計調査では、1970年から2010年にかけて、全米200の都市圏で移民の比率と犯罪率を4つの大学の研究者グループが比較調査している。

これにNPO団体による2016年までの最新調査を追加すると、この間に全米の移民人口は118%増加しているが、暴力犯罪の発生件数(殺人、強姦、暴行、強盗)は36%減少していた。



調査対象の都市圏の約7割にあたる136の地域で、移民人口は上昇しているのに犯罪発生率は変化がないか、低下していた。

また別の専門誌「犯罪学」に5月に掲載された別の研究では、1990年から2014年にかけての不法移民と暴力の関連について調べた結果、「この間の不法移民の増加は、むしろ暴力犯罪の減少に関連付いていた」。

「推進される移民政策は、不法移民が暴力犯罪の増加には関与していないという実証された理解をもとに慎重に策定されるべき」だという。

ウィスコンシン大学マディソン校のマイケル・ライト准教授らこの研究の執筆者は、国境警備の強化はアメリカの犯罪の抑制にはつながらない、そもそも不法移民が犯罪率上昇の原因ではないからだ、と主張する。「この研究は、移民取り締まりの根本的な正当性に疑問を投げかけている」

こうした研究結果にもかかわらず、2017年6月にギャラップ社が実施した世論調査によれば、アメリカ国民の半数近くは移民のせいで犯罪率が上昇していると考えている。この心情は、長く変わっていない。10年前の2007年6月に実施された調査でも、回答者のうち58%が移民によってアメリカの「犯罪状況」が悪化していると答えていた。

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シャンタル・ダシルバ


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