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国連の力を一途に信じた生真面目アナンの功罪

ニューズウィーク日本版 / 2018年9月1日 14時45分



彼は欧米の倫理的慣習を吸収し尽くしたアフリカ人だった。事務総長に就任した97年、初めてアフリカ統一機構(OAU)で演説。人権を求める声をアフリカの多くの指導者が「欧米の先進国による強制、さらには陰謀」と見なしていることは承知しているが、そうした見方は「アフリカ人一人一人の、人間としての威厳を求めてやまない心をおとしめる」と語った。

事務総長として最大の功績は恐らく、国家クラブと化していた国連に個人の権利というリベラルな原則を吹き込んだこと。最大の失敗は、イラク戦争の尻拭いを押し付ける米大統領に対してであれ、辞任しろと迫る右翼に対してであれ、ノーと言うすべを知らなかったことだろう。

アナンほど一途に国連の力を信じた人間はいない。彼の長所と短所を認めて重要性を指摘することは、アナンその人の重要性を根本的に認めることになる。今も耳に残る柔和で控えめな声は、私たちの善なる声だ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2018年9月4日号掲載>



ジェームズ・トラウブ


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