ホワイトハウス内にレジスタンスの動き?匿名の高官がNYTに暴露
ニューズウィーク日本版 / 2018年9月6日 17時0分
<トランプ政権内の「レジスタンスの一員」と名乗る匿名の高官が、ニューヨーク・タイムズに驚くべき論説を寄せた。閣僚も含めた少なからぬ政権幹部が、トランプの悪政を止めてアメリカを守るために日々政府内から働いている、と言うのだ>
トニー・シュウォルツは1987年のベストセラー『トランプ自伝──不動産王にビジネスを学ぶ』の共著者としてドナルド・トランプ米大統領の自伝を執筆した人物だが、最近のトランプについて「包囲網が迫っており、必死で退路を探している」と言う。ニューヨーク・タイムズが9月5日に掲載したトランプ政権高官の匿名の論説は、それほど破壊的な内容だった。
シュウォルツはツイッターでこう述べた。「トランプの目の中に恐怖や自暴自棄が浮かんでいないか、見てみるといい。彼は精神的にも感情的には真っ逆さまだ」
そしてトランプ政権の閣僚たちに対し、合衆国憲法修正第25条に基づいて大統領に「職務遂行能力なし」として罷免し、副大統領を臨時大統領に立てるべきだと呼びかけた(タイムズ紙の匿名の寄稿者も、政権内でその可能性は検討したが断念した、と書いている。これまで使われたことがなく、その手続きはきわめて長く困難な道になると米メディアは指摘する)。
【参考記事】ウッドワードが新著で暴いたトランプの無能
「政策が実現しないように」日々、精励する高官たち
「自らの政権の高官からおおっぴらに反旗を翻され、日々、包囲網が迫る中、今夜のトランプは自身が偉大な大統領である理由を説明しようとしていたが、これほどおびえ、やけになった彼を私は見たことがない。私たちが戴いている大統領は本物の社会病質者(ソシオパス)だ。今こそ修正25条を使うべきだ」とシュウォーツはツイートした。
問題の高官は「政権のシニアスタッフの多くが、トランプの政策や最悪の考えを阻止するために内側からせっせと働いている」と書いている。トランプを辞めさせられないか相談した閣僚も複数いるという。
「多くの人々が目にしている(トランプの)不安定さを根拠に、修正第25条を発動してトランプを辞めさせる話が閣僚の間でさえささやかれている」
論説が掲載された日、トランプはホワイトハウスで全米の保安官を集めたイベントを主催していた。記者から論説の内容について問われると、トランプは批判者に対していつもそうするように悪態を付き始めた。
「『落ち目のニューヨーク・タイムズ』で、政権内の誰かが『レジスタンスの一員』だと言った。これには対処が必要だ。そして不誠実なメディアは何とかしなければならない。アメリカ国民も私と同様にすべきだ」
トランプはこうも述べた。「もし落ち目のニューヨーク・タイムズが匿名の論説を載せるなら、匿名とは腰抜けを意味するから、腰抜けの論説と考えていい。トランプ政権は偉大な仕事をしている」
ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官応はさらに容赦なく、コラムを書いた高官に辞任を迫った。
「この記事の背後にいる人物は、正当に選出されたアメリカの大統領を支持するよりも裏切ることを選んだ」とサンダースは声明で述べた。「この人物はアメリカ国民の意思よりも自分と自分のエゴを優先させた。この臆病者は今からでも正しい選択をして辞任すべきだ」
(翻訳:村井裕美)
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ジェイソン・ルミエール
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