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トランプ政権、打ち切った援助をエサに「パレスチナは和平に応じよ」

ニューズウィーク日本版 / 2018年9月10日 16時30分

<交渉のテーブルに着かせるための圧力のつもりらしいが、脅しを駆使するトランプを誰も仲介役と思っていない>

ドナルド・トランプ米大統領は9月6日の会見で、パレスチナがイスラエルとの和平に応じない限りパレスチナ難民への援助は行わないとの姿勢を明らかにした。

「私はパレスチナ人とパレスチナの指導者に支払っていた多額の金をストップした。アメリカは途方もない額の金を彼らに支払っていた」と、トランプは述べた。「おそらく(パレスチナは)金を受け取れるようになる。ただし(和平)合意が結ばれるまで払うつもりはない。もし合意が結べなければ払わない」

トランプ政権は8月末、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出を打ち切ると公式に表明したばかり。UNRWAはイスラエル建国によって故郷を追われたパレスチナ人への支援を目的として1949年に設立された機関で、現在では推計500万人のパレスチナ難民(創設時の難民の子孫を含む)への支援に当たっている。

UNRWAが提供するサービスには人道援助や教育、職業訓練などが含まれる。アメリカはUNRWAの最大の拠出国で、打ち切りにより支援活動に大きな支障を来すとみられている。

エルサレムをイスラエルの首都と認めたトランプ

米国務省は8月31日、声明で「(トランプ)政権は注意深く問題を検討した上で、UNRWAへのアメリカの追加拠出を行わないことを決めた。アメリカは長年にわたってUNRWAの費用を不公平に負担させられてきたが、この1月に6000万ドルを拠出した際、これ以上の負担を背負うつもりはないと明言した。ヨルダンやエジプト、スウェーデン、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)といった国々はこの問題への対応にリーダーシップを発揮しているが、国際社会全体の反応は十分ではない」と述べた。

また声明の中で国務省は「(UNRWAの)財政赤字や適切な費用分担といった問題もさることながら、UNRWAが長年続けてきた基本的な『ビジネスモデル』や財政慣行──これはUNRWAが支援対象を際限なくどんどん拡大してきたことと関連するが----は単純に持続不可能だということだ。非常事態なのはずっと以前からだ。アメリカはこの救がたい欠陥のある(組織者を務めてきたが、これまでのところ和平合意へのロードマップは明らかになっていない)和平プロセスはトランプが大統領に就任する以前から暗礁に乗り上げていたが、パレスチナ自治政府はエルサレムをイスラエルの首都と認定した米政府は和平交渉の仲介役として不適格だとの立場だ。この動きはイスラエルのエルサレム支配の正当化につながるうえ、異論も多い。和平合意が実現したあかつきにはエルサレムの東半分を未来のパレスチナ国家の首都にする構想があるからだ。

だがトランプは、UNRWAへの拠出打ち切りはパレスチナを交渉のテーブルに着かせるための圧力として有効だと信じている。

(翻訳:村井裕美)

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