沖縄の玉城デニー新県政と、辺野古問題の県民投票のゆくえ - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月3日 11時0分
<新知事は「辺野古移転の賛否」を問う県民投票の実施に前向きだが、問題解決には日本政府と沖縄県政の丁寧で建設的なコミュニケーションが欠かせない>
沖縄県知事選挙で玉城デニー候補が当選しました。新しい県政はどこへ向かうべきなのかという点では、何よりも、辺野古移転問題があり、早速新知事は(住民直接請求を受けている)県民投票を実施するとしています。
しかし軍事外交問題というのは、県政の範囲を超える国政上の問題です。ですから、仮に県民投票を行っても、効力はないという考え方があります。では、沖縄における基地政策については、県民の意思を無視して良いのかというと、それは違います。
その意味で、辺野古という場所に基地を完成させるのかどうかという問題に関しては、地元、つまり県政に権限があるのは間違いありません。
では、県民投票について「辺野古移転反対」という主張の意味合いが明確でなくても、良いのかというと、私は違うと思います。「ノー」という意思を明確にしたとして、その場合に、その「ノー」の結果について、どうしたら良いのか、例えば次の4つの選択肢について、何を支持するのか、新県政としては、議論を開始すべきでしょう。
(1)辺野古移転に反対するが、普天間基地の危険な現状を前提に普天間返還というのは既定路線(日米合意済み)なので、県内もしくは県外に新たな移転先を探す。
(2)辺野古移転に強く反対する、そのために普天間の移転を白紙に戻し、普天間基地を存続させる。
(3)辺野古は建設しない、代替先も見つからない以上は探さない、普天間は返還する、その結果、在日米軍のプレゼンスが縮小となる分は自衛隊が自主防衛として担う。
(4)辺野古は建設しない、代替先も探さない、普天間は返還。自主防衛による自衛隊のプレゼンス強化もしない。沖縄としても、日本全体としても、米軍と自衛隊を合わせた軍縮に向かう。
辺野古反対というのは、この4つのどれなのか、もちろん県政を超える話ではありますが、沖縄としても代替案を明確にする、今回の知事選結果がその契機になればと思います。
問題は、一方の当事者であるアメリカが、現在はトランプ政権だということです。仮に、そのトランプ大統領本人が、この辺野古をめぐる対立に興味を持って首を突っ込んできたらという懸念です。というのは、仮にこのまま対立が激化した場合、トランプ的な発想からは、「守ってやっているのに、それがイヤだというのなら、サッサと出て行ってやる」という話になりかねなません。いや、本当にトランプ的な思考回路からすれば、そういう話になる危険性は十分にあります。
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