「中国はトランプ大統領の排除を画策している」ペンス米副大統領
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月5日 15時40分
<南シナ海問題や貿易戦争で対立が深まる中、アメリカ世論を操作して選挙でトランプを不利にしようとする中国の工作活動を糾弾>
アメリカの国政に介入しようとする中国の陰謀は、ロシアよりも遥かに大きな脅威だ――マイク・ペンス米副大統領は10月4日、ワシントンのシンクタンクで行った演説でこう言い、中国に厳しく対処する姿勢を見せた。
ペンスは、情報機関の専門家の意見や中国政府の手によるものとされる工作活動を例に挙げて、中国がアメリカの選挙に介入しようとしているというドナルド・トランプ米大統領の主張を裏付けた。
「中国は工作員や偽装グループ、プロパガンダ媒体を活用し、中国の政策に対する米国民の認識を変えようとしてきた。米情報機関の幹部によれば、中国がアメリカで行っている工作活動はロシアの活動よりはるかに広範に及んでいる」と、ペンスは言った。また「中国はトランプとは別の米大統領を望んでいる」と述べ、結果として中国が「米世論に影響を及ぼす前例のない試み」を企てていると指摘した。
今週3日には、米国土安全保障省(DHS)が「中国政府と繋がるハッカー集団が、データを盗むために欧米のITサービス企業へのハッキングを開始した」と警告している。DHSのクリストファー・クレッブスは声明で、「米政府と民間が協力してこの攻撃に対処するよう強く求める」と指示した。
米サイバーセキュリティ―企業「クラウドストライク」のドミトリ・アルペノビッチは、「残念ながら、中国のハッカーたちが戻ってきた。今や彼らは欧米の情報機関を攻撃する最大の脅威だ」と、ロイター通信に語っている。
ペンスの対中批判は、ハッキング攻撃、選挙介入にとどまらない。アフリカなどの発展途上国のインフラ建設などに財政支援や融資を行って借金漬けにする「債務の罠」外交も槍玉に挙げた。「(中国から途上国への)融資条件はまったく不透明で、圧倒的に中国が得するようになっている」と、ペンスは述べた。
中国が一方的に領有権を主張して軍事拠点化を進める南シナ海については、米軍の軍事行動に対して中国が「無謀ないやがらせ」を仕掛けていると非難。先月末にも、南シナ海を航行中の米誘導ミサイル駆逐艦「ディケーター」に中国駆逐艦が急接近してあわや衝突、という異常接近事件が起こったばかりだ。
「中国は前例のない規模の軍事力を誇示しようとしている。しかし、アメリカは怖気づかない。アメリカは退かない」と、ペンスは述べた。
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