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突然辞任したヘイリー国連大使は、トランプ政権内の「抵抗勢力」だったのか - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月11日 16時15分

<中間選挙を前に突然、辞任したヘイリー。様々な憶測はあるが、政権発足当初からトランプの外交方針には賛同していなかったと見るべき>

今週9日、ニッキー・ヘイリー国連大使が突然辞任しました。正確に言えば、年末で退任という発表です。場所は、ホワイトハウスの大統領執務室(オーバル・ルーム)で、トランプ大統領との共同会見の場でした。ですから、大統領もその場で大使の辞任を認め、円満な退任が演出されたのです。

私は9月の時点で、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された「現役の政府高官が政権内において、トランプ政権に対して密かな抵抗を行なっている」という匿名告発の主は、「彼女ではないか?」という仮説を持っていました。この点について、ヘイリー大使は、直後に政権内で行われた「踏み絵」の際には完全に否定し、その上で「自分は大統領に意見する時は、堂々と面と向かって言う」と述べています。

ですが、今回の突然の辞任劇は、やはり彼女が「匿名告発」の主であるか、それに関与しているという印象を広めることになりました。真相が明らかになるのには、もしかしたら10年とか20年という時間を要するかもしれませんが、可能性は相当に高いと思われます。

辞任の理由については、「潮時だ」という以外には何も説明がありません。ですから、様々な憶測がされています。例えば、CNNのクリス・クリッツア記者は「3つの説」として「ポンペオ国務長官やボルトン補佐官との意見の相違」「家庭の事情により民間に転じてカネを稼ぐ必要が出た」「2020年の大統領選に出るため」という3点を紹介しています。

私は、このクリッツア説は少し見方が粗いと思います。「カネの問題」はさておき、「ポンペオ、ボルトンとの意見の相違」という漠然としたものではなく、もっとハッキリ言えば「当初からトランプ大統領の外交方針には賛同していなかった」と見るべきです。

国連大使として、就任以来の彼女は、例えばロシアへの制裁や欧州との協調といった問題で、大統領の指示がない場合は伝統的なアメリカの外交方針に沿って行動していました。大統領が自己流の判断で介入してくると、「何事もなかったかのように」大統領の発言と辻褄を合わせるということが何度もありました。自分の意見と、大統領の意見について、終始「ズレ」があり、それが今回の辞任につながったと見ることができます。

では、どうして「このタイミング」なのかというと、1つの可能性は11月6日の中間選挙へ向けて「何が何でも勝ちたい」というトランプ大統領は、「究極のパフォーマンス外交」として選挙直前のタイミングで、北朝鮮問題に関する「大胆な踏み込み」をする可能性があります。それが「二度目の首脳会談」になるのか、あるいは別の形を取るのかは分かりませんが、とにかく何らかの「サプライズ」を用意しているという見方があります。

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