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米中通貨戦争へカウントダウン開始

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月13日 11時30分



だが、行動を起こすには数多くのリスクを伴う。中国が15〜16年に元を切り下げた際は、巨額の資本逃避が起きた。今回も元の下落を放置すれば、同様の事態を招く恐れがある。

大きな疑問も残る。中国は貿易戦争によって自国経済が大きなダメージを受けることと、元安で資本逃避が再び起きることのどちらをより不安視しているのか?

元が下がれば、国内に影響があるだけではなく、新興市場の通貨も同様に下落し、ドル建ての負債は返済が困難になる恐れがある。同じように元の下落によって中国からの輸入品が大量に流入すれば、日本やEUもいい顔はしないだろう。

元下落を導く多くの要因――貿易戦争、アメリカの利上げ、国内の景気刺激策による影響などを受けながら、中国政府が元のこれ以上の下落を回避するには、為替に介入して元を買い支えするしかないのかもしれない。15〜16年に、外貨準備高を切り崩して1兆ドル以上の資本注入を行ったように。

そうすれば、米政府は満足するだろう。だが、中国政府に対して為替操作をやめるよう再三説いてきた以上、矛盾した態度と言わざるを得ない。

「トランプ政権は近く中国に対し、元の操作をこれまでどおり続けるよう要請しなくてはならなくなるだろう」と、セッツァーは指摘する。

そうなれば、これ以上の皮肉はないかもしれない。

From Foreign Policy Magazine


[2018.10.16号掲載]
キース・ジョンソン


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