国民からの批判が不快?トランプ政権がホワイトハウス周辺のデモ規制を提案
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月17日 19時0分
<反対されたり抗議されることに耐えられないトランプ政権が、ホワイトハウスなどワシントンでの抗議活動の規制を提案。キング牧師の「私には夢がある」演説など、アメリカの民主主義を作ってきた偉大な集会の場がなくなりかねない>
トランプ政権は、ワシントンの中心部を東西に広がるナショナルモールや近隣の公園、広場での抗議活動を、新たな規制で制限しようとしている。ホワイトハウスとその周辺の土地建物を管理する米国立公園局は、政府の官報でこの新規制案を公表した。
公園局によれば、新規制は所定の改訂にすぎない。だがこの案に反対する人々の多くは、この新規制を、自由で民主的なアメリカという国の独自性を示す記念碑が点在する場所で、国民の集会と言論の自由を抑制する試みとみている。
ホワイトハウス前の広場には、国民が国家の問題に関して声を上げ、大統領に訴えた歴史がある。新規制では、ホワイトハウスの周辺はほぼ封鎖され、立ち入りが許されるのは幅約1.5メートルの歩道だけになる。
1917年、婦人参政権を求める活動家たちはホワイトハウスの前でピケを張って権利を獲得したが、今度の新規制の下であれば、活動家たちは一般開放された狭苦しい空間にぎゅうぎゅう詰めで、とても入りきらなかっただろう。
ホワイトハウスの前に集結したウィメンズ・マーチ(女性たちの行進)の参加者たち(2017年1月) Jonathan Ernst-REUTERS
カナダからテキサス州を結ぶ長距離石油パイプライン、キーストーンXL石油パイプラインの設置に抗議する環境保護派の2014年のデモでは、デモ隊はプラスチック製のジップタイでホワイトハウスのフェンスに自分の体を括り付けた。数千人が逮捕されたが、こうしたやり方も不可能になる。
すでに立ち入り禁止状態
「ホワイトハウス前の歩道で逮捕されることは、活動家にとって強力な象徴としての価値があった」と、米自由人権協会(ACLU)ワシントンDC支部で法務を担当するアーサー・スピッツァーは、言う。
ホワイトハウス周辺の一部地域は、不審者が柵を飛び越えて敷地内への侵入を図った事件をきっかけに、すでに暫定的に歩行者立ち入り禁止となっている。こうした事件を防止するための新たな防護柵は設置されたが、新しい規制が実施されれば、一帯は正式に立ち入り禁止となるだろう。
トランプ政権のイスラム教国からの旅行禁止令や、不法移民の子供を親から引き離す方針に反発して、自然発生的な抗議活動も行われてきたが、新規制のもとではこうしたイベントでは演台や音響システムを使うことができなくなるだろう。装置の使用に、許可が必要になるからだ。
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