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バイエルン州議会選が日本人にも無関係ではない理由

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月23日 16時0分

CSUが連立相手に選んだのは、11.6%を得票した「Freien Wählern(自由な有権者)」という保守政党。彼らの主張もさらに保守的で、「ミュンヘン空港の第三滑走路建設停止」を掲げるなど、CSUも連立を組むにあたり政策的にかなり譲歩を強いられることになりそうだ。



EU(ヨーロッパ連合)の誕生、そして国境撤廃をうたう「シェンゲン協定」の発効以後、ヨーロッパでは人の流動性が経済も文化も変化させ、光と影があるとはいえヨーロッパを強くしてきた。そんななか経済が堅調なドイツはヨーロッパを引っ張るブルドーザーとして先頭を歩み、職を求めて多くの外国人が集まってきた。その多様性があるからこそ、ドイツ人の勤勉さと相まって近年のドイツの発展があったわけで、外国人受け入れが厳しくなればこの流れも大きく変わっていく可能性がある。

現にドイツのビザを取得するのが以前より難しくなっている。私の周りにいるドイツ人男性と結婚した日本人女性がドイツに住もうとすると、以前よりも厳しい語学テストに受からなければならなかったりと、日本人にも変化の影響は出ているようだ。

外国からの労働力を受け入れることで経済を強くしてきたドイツ。そしてさまざまな人種が共存することでドイツ人の誇りであるサッカー代表が世界一になったり、文化的な変化を生んだりしてきた。人道的には移民受け入れに反対する人は多くないだろうが、いざ自分の生活に関わってくると不安がある気持ちも私自身理解できる。しかし、人種の融合や文化の融合は世界がインターネットで繋がり狭くなった今の時代には避けて通れない道であるし、むしろ歩んでいくべき道なのかもしれない。

長い争いの歴史、そして悲劇の20世紀を乗り越えてきたヨーロッパが描いた民主主義とキリスト教という共通の価値観を持つ人々の国境の壁を取り払い、かつ、その中で武力で争う悲劇を繰り返さないという理念が逆行することはないだろう。しかし、その理想と理念を「どの人々までと共有できるのか」というジレンマはまだまだ続きそうだ。ヨーロッパのように共通の宗教や制度的価値観を共有していないアジアは何を学ぶことができるのか? 注意深く見ていくことが重要ではないか。

[執筆者]サッシャ
ドイツ人の父と日本人の母の間にドイツ・フランクフルトで生まれ、小学校4年生の時に日本に移住。 独協大学外国語学部卒。現在も定期的に往復し、日本とドイツの架け橋となるべく活動中。FMラジオ局J-WAVE「Step One」ナビゲーター、日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」ナビゲーターのほか、ライブの司会や各種スポーツの実況などで幅広く活躍している。


サッシャ(ラジオDJ)


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