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米中間選挙の直前情勢、上院は共和党が優勢か - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月23日 19時0分

具体的には、最高裁に保守派のカバナー判事を送り込むことで宗教保守派を喜ばせる、保護貿易を徹底し国内の製造業を重視している姿勢を見せる、ロシアとの中距離核弾頭削減条約を破棄するなどロシアとの癒着を否定する効果を狙い、中国との確執を演出する、など様々なことをやっていますが、どれも中間選挙の投票日を計算してのことです。

例えば、10月22日の週の時点では、中米ホンジュラスから約5000人の難民が、ギャング集団の迫害から逃れるために、グアテマラ、メキシコ経由でアメリカを目指しています。これに対して、トランプ大統領は「国境に軍を配備しても入国を阻止する」などと発言しています。これも国境州を中心に、保守派にはアピールする姿勢でしょう。

では、民主党は押され気味かというと、決してそうではなく、トランプ政治のほとんどすべて否定したいという情熱で、選挙戦を戦っています。特に、カバナー判事の最高裁入りという事態を許したことで、強い危機感を抱えています。ただ、その思いが強ければ強いほど、主張は左にシフトしてしまい、中道票を遠ざけているのも事実です。テキサスで一度は優勢と言われたオルーケ候補などはそのいい例でしょう。

投票日まで残りわずかとなりましたが、「政局の一寸先は闇」という言葉はアメリカにも当てはまります。何かをきっかけに投票日までに大きく情勢が変わる可能性はまだ十分に残っています。

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