サウジvsトルコ、その対立の根源
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月27日 16時0分
ムスリム同胞団に対するサウジアラビアの警戒は、政治的なものだ。支配者の絶対的権威を認めない彼らの運動は、サウド王家の支配の正統性にも破壊的影響をもたらす。だから力でねじ伏せるしかない。
しかし歴史を振り返れば明らかなように、アラブ諸国の専制君主による暴力的弾圧がなければ、ムスリム同胞団の一部がテロに走ることはなかった。多くの専門家が指摘しているように、アラブ圏に民主主義を根付かせる唯一の道は「イスラム主義政党を受け入れる」ことだ。
いまエルドアン政権を支えているトルコのイスラム主義者も民主主義を掲げている。その点では彼らは正しい。ただし民主主義を「多数派による専制」と同一視してはいけない。この際、トルコはチュニジアのモデルを見習うといい。あの国ではイスラム主義者と世俗主義者が協力して憲法を作った。
一方、サウジアラビアにふさわしい改革の手本はヨルダンやモロッコにある。どちらも立憲君主制を受け入れており、他のアラブ諸国よりも自由度が高い。
女性に車の運転を許可するなど、サウジの皇太子も「民主的」な社会改革に着手してはいる。しかし近代国家には一定程度の政治的な自由が求められる。
つまり、自分に批判的な者を問答無用で切り捨てることなど許されない。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2018年10月30日号掲載>
ムスタファ・アクヨル(米ケイトー研究所上級研究員)
この記事に関連するニュース
-
イラン聖地・コムでは保守強硬派支持が大勢 世俗派との分断浮き彫り 大統領選ルポ
産経ニュース / 2024年6月26日 18時51分
-
バーレーンと国交正常化協議へ=2016年に断交―イラン
時事通信 / 2024年6月24日 18時14分
-
「東と西、南と北の架け橋へ」地政学上の鍵を握るサウジアラビアが目指す「サウジ・ファースト」の論理
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月21日 14時33分
-
日本各地にモスク計画続々、資金集めにSNS イスラム教徒、相互扶助の精神は国境を越える
共同通信 / 2024年6月8日 8時4分
-
宗教教育と言語について(上) イスラム圏の教育事情 その4
Japan In-depth / 2024年5月31日 17時0分
ランキング
-
1来月の日欧の共同訓練批判=ロシア
時事通信 / 2024年6月29日 16時21分
-
2米民主党はバイデン氏の交代検討を 独高官
AFPBB News / 2024年6月29日 16時39分
-
3ウクライナ、クリミアのロシア宇宙通信施設を破壊 軍が今週攻撃
ロイター / 2024年6月29日 1時28分
-
4ニュース裏表 峯村健司 「露朝条約」にいらだち募らせる中国、三角関係に〝きしみ〟プーチン氏の訪朝、東アジアの国際秩序に地殻変動もたらす
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月29日 10時0分
-
5「中国強くなれば世界平和に」=新興国との連帯強調―習主席
時事通信 / 2024年6月28日 17時22分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)