カショギ惨殺事件がワシントンの話題を独占する4つの理由
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月30日 16時0分
最悪なのはシーア派武装勢力の増長を食い止め、アラビア半島の不安定化を防ぐためと称して始めたイエメン内戦への軍事介入が、全く正反対の事態を招いている事実だ。
アメリカは、勝ち目のない戦争に足を突っ込んだサウジアラビアの同盟国という厄介な立場に置かれている。サウジアラビアのイエメン介入を物資の面で支援する米政府は、自らが招いた人的被害に驚くほど無頓着な独裁国家の仲間と見なされている。8月にイエメンの子供が乗ったスクールバスを誤って空爆したときも、有志連合の中核を成すサウジ軍人たちはずっと「正当な軍事行動」だと主張していた。
そして今度は、およそ国家の安全を脅かすとは思えない人物を無惨に殺すことで国際的な騒動を起こした。
新しいサウジアラビアも、昔と変わらない無能さと傲慢さ、センスの悪さを発揮しているようだ。しかも以前よりたちが悪い。自分たちが偉大な存在だと信じ込んでいるからだ。
サウジ政府が10月16日、シリア再建資金としてアメリカに1億ドルを提供したのはいいことだ。だがこれまでのところ、サルマンとその息子の下で行われてきた政策はどれも役立たずで、さもなければ逆効果だった。
こういう批判に、彼らはこう反論するだろう。「アメリカ人は私たちに、自国の安全を守り共通の利益を推進するためにもっと責任を果たせと言う。だが私たちが行動を起こすと文句を言い、批判するばかり。いったいどうしてほしいのか?」
彼らの言い分にも一理はある。しかし、アメリカとの絆を守りたいなら答えは1つだ。もっと大人になれ。
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【参考記事】「政権打倒は叫ばない」ジャマル・カショギ独占インタビュー
スティーブン・クック(米外交問題評議会上級研究員)
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