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今度の敵はメディア──マイケル・ムーア『華氏119』の説得力

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月2日 17時50分

ハーバード大の調査で、この年齢層の若者たちのうち「実際に投票しそうな人」に絞った質問では、(サンダースに代表される)「民主社会主義」を支持すると答えた人は53%と、「資本主義(48%)」よりも多かった。

もちろん、メッセージ性に溢れたこの作品に対して評価は分かれるだろう。保守寄りと言われるウォールストリート・ジャーナル紙は本作のレビュー記事で、「ジャーナリストではない」ムーアは、「映画の素材のほぼすべてを別の情報源から持ち出してきて、自分の『敵』をできる限り滑稽に見えるように編集した」と書いた。「彼の生きがいはセルフプロモーション(自己宣伝)であり、ドナルド・トランプの左派バージョンとさえ言えるかもしれない」と。

とはいえ、ムーアが「切り取って」見せた数々の断片(主要メディアの失態を含めて)が、アメリカの一部であることは事実だ。11月6日の中間選挙まであと数日。本作は選挙前の予習にも、選挙結果を読み解く復習にも使える、タイムリーな教材の1つになるはずだ。



[原題]:FAHRENHEIT 11/9
[監督・脚本]:マイケル・ムーア(『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』)
[出演]第45代 アメリカ合衆国大統領 ドナルド・トランプ ほか
[配給]ギャガ
【オフィシャルサイト】https://gaga.ne.jp/kashi119/
2018年11月2日(金)TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー


小暮聡子(本誌記者)


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