次の戦争では中・ロに勝てないと、米連邦機関が警告
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月15日 14時29分
北朝鮮との紛争のシナリオはこうだ。米朝間の緊張が高まり、トランプ政権が在韓アメリカ人の避難準備を進めると、北朝鮮側はそれを紛争の前兆と解釈し、在韓米軍基地を標的に核搭載ミサイルを発射。ただちに停戦に応じなければ、アメリカ本土に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射すると脅しをかける──。
報告書は、イランの軍拡と、中東でイランがテコ入れする武装勢力の影響力拡大も重大な脅威とみなす。イランが「こうした力を使って、ペルシャ湾岸における米軍施設と重要インフラに攻撃を仕掛け、航行の自由を妨げるなどして、アメリカとその同盟国に大きな損失を与える」可能性があると警告している。
「政略結婚」と侮れず
こうした懸念から、共和党のマイケル・ギャラガー上院議員(ウィスコンシン州選出)は先月、防衛専門誌に寄稿し、「中国とロシアの台頭でアメリカの安全保障は海での優位性にますます依存するようになっているのに」、米海軍の能力は低下する一方だと憂えた。
ロシアと中国は、世界のあらゆる地域でアメリカが覇権を握っているとみなし(米軍は世界中に約800の基地を持ち、他のすべての国の外国基地の合計を大幅に上回るとみられている)、それに対抗すべく互いに急接近している。中露の接近を「政略結婚」にすぎないとみる向きも多いが、米軍の一部高官はこの2国の継続的な共同歩調に警戒感を募らせている。
ジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長は先週、ノースカロライナ州のデューク大学で講演を行い、ロシアと中国は敵ではなく、アメリカにほぼ匹敵する競争相手とみているが、この2国の潜在的な脅威に対抗するため軍事力の維持は必要だと語った。
「競争が必ずしも紛争になるわけではない。しかしアメリカの軍事的プレゼンスに挑戦し、世界のあらゆる領域で米軍に挑戦し得る2つの国が現れた事実は無視できない」
トム・オコナー
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