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キューバ大使宿泊拒否に見る、日米国家主権の問題 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月15日 17時30分

それにもかかわらず、まるでアメリカの租界のような意識で、現場が動いていたのでしょうか。日本ヒルトンという会社は、その昔は副島有年氏という豪傑肌の大蔵省OBが会長をしていました。副島氏には個人的に何度か教えを請いに行ったことがあります。「海外駐在員は重役を空港に迎えに行ってはいけない、重役を甘やかすのは君達の仕事ではない」など気骨のあるアドバイスは記憶に残っています。副島氏が現役であればこのような卑屈な判断はしなかったのではないかと思います。



空港といえば、最近、成田空港で米系航空会社の便に搭乗しようとしたら、米国軍人を優先搭乗させる際に、「軍務への感謝のセリフ」を地上職員が日本語で言っていたのには驚きました。しかも、この米系会社は、成田のハブ機能は思い切り縮小して、ゲートのオペレーションはアライアンスを組む日本の航空会社に委託しているのです。ですから日本人で日本の航空会社の職員が「米国軍人への感謝」をアナウンスしていたことになります。

これも似たような話で、「国家主権のケジメ」が曖昧にされているケースだと思います。国家主権ということでは、日米地位協定における容疑者引渡し等の問題があります。これも「取り調べの可視化・弁護士同席、代用監獄の廃止」といった、国際基準での被疑者の人権確保を行って、米国側が渋る口実の材料にしている問題を無くせば、解決の道筋が出てくるのではないかと思います。

これからは、IR(統合型リゾート)など外資によるサービス業の進出が増えると思いますが、日米がいくら友好国であり、同盟国であっても、こうした国家主権に関わるケジメは曖昧にしてはならないと考えます。

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