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人民解放軍は、戦術を従来の国防重視から攻撃型へ転換する

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月16日 14時15分

<これまで国防を旨としてきた中国の人民解放軍だが、習近平の軍事力増強の方針に従って「先制攻撃」への準備を進めることを明言>

中国人民解放軍は、これまで旨としてきた国防だけでなく、敵国への攻撃も含めて戦術を刷新したい意向を明らかにした。

公式SNSを通じて明らかにした見解で人民解放軍は、地上軍と航空戦力を統合し、先制攻撃で敵側の動きを抑える必要性を強調した。この方針は、習近平(シー・チンピン)国家主席が、世界最大の兵力を誇る人民解放軍のハードウエアと戦略構造の見直しを図るなかで示された。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、「事前の計画に則り積極的に打って出れば、反転攻勢に転じて戦争の帰趨を支配できる」と、同軍は説明している。

「地上戦も計画通りに進めれば、敵を奇襲し兵器を最大限に活用することで、勝利の可能性を飛躍的に高めることができる」

米軍との軍事衝突を想定

さらに、ドローン技術を軍事戦略に取り入れることの必要性を強調し、中国の支配権拡大によってアジア太平洋地域に279カ所の基地を維持する米軍との衝突がますます現実味を帯びていると指摘する。

アメリカ政府は、中国が中国の一部と主張する台湾に対して、軍事・外交上の支援を行っている。さらにアメリカは、南シナ海の広大な海域の領有権を主張する中国に対抗し、ときに緊張状態を引き起こしている。

戦闘の発生に備えるため、習は人民解放軍の再編を早急に実行するよう促してきた。国営メディアの新華社によると、11月14日に中国共産党の中央軍事委員会に出席した習は、軍再編は「大きな政治的責任だ」と語った。習の軍再編ビジョンは、戦略的な近代化に加えて、組織内の腐敗の根絶から軍人の給与の引き上げまで広範に及んでいる。

昨年10月に開催された中国共産党の第19回党大会で習は、かつては地下の共産ゲリラ戦線だった人民解放軍を、2050年までに世界レベルの軍隊へと変革させると誓った。南シナ海問題や貿易戦争によって米中間の緊張が高まるなか、人民解放軍の戦闘への即応能力レベルを引き上げたい考えだ。



人民解放軍の公式サイトによると、習は10月、台湾や南シナ海を管轄する同軍南部戦区に対して「戦争への備えに専念する」よう指示した。また今年4月に中国海軍が史上最大規模の演習を実施した際には、海軍力の強化が「緊急」の課題だと述べた。

中国やロシアと比較して米軍は、現在の軍事力では大きく勝っているが、多くの米国防関係者がアメリカと中国、ロシアなどの戦力の差が狭まってきたという懸念を口にしている。特に中国が海軍力の増強に注力していることで、今後アメリカは軍事的な優位性を維持できるのか、懸念が生じている。

中国はさらに、ロシアや中央アジア諸国などとも軍事的な協調関係を模索し、国際的な影響力の拡大を図っている。習が提唱する「一帯一路」政策は、中国の貿易関係や世界における経済活動の革新を目指しているが、これをアメリカは自国の軍事的・国際的影響力への脅威とみなしている。

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トム・オコナー

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