APEC執務室に乱入した中国代表──国際スタンダードなど守るはずがない
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月19日 17時20分
一帯一路に協力するのに反対する意見が自民党の中にもあり、安倍首相およびその周辺は盛んに「国際スタンダード」を中国に要求しているので心配には及ばないと主張している。
ハーグの判決まで「紙屑」として扱い、APEC議長国の執務室にまで乱入して中国に都合のいい方向に国際社会における首脳宣言を捻じ曲げようとする中国に対して、「国際スタンダード」も何もあったものではない。
10月16日のコラム<日本は中国との闘い方を知らない>で詳述したように、1992年の天皇訪中を促す江沢民は、天皇訪中が実現しさえすれば今後は二度と歴史カードを使わないと誓いながら、天皇訪中によって西側諸国の天安門事件に対する経済封鎖が解除されると、たちまち掌を返して愛国主義教育(1994年)によって反日教育(1995年)を徹底し始めた。
今度は、「一帯一路」に日本を誘い込むことによって西側諸国の「一帯一路」に対する不信感を薄め、アメリカを凌駕した世界制覇を習近平は目論んでいる。日本はその中国に、又しても手を貸しているのである。
引き戻ることはできない道を安倍首相は選んでしまったようだが、それでも今からでも遅くない。APECにおける、このたびの中国代表団の乱入を冷静に見つめて、日本の長期的な国益に沿った道を選ぶようにしてほしいと、今でも望む。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
上海協力機構サミットが開催、影響力拡大と結束強化を確認(カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月11日 0時10分
-
習近平氏、サプライズ訪中のハンガリー首相と会談 「オルバン氏の努力を称賛」
産経ニュース / 2024年7月8日 17時20分
-
EU議長国のハンガリー首相が訪中、習氏と会談へ ウクライナ情勢協議か
産経ニュース / 2024年7月8日 9時46分
-
ハンガリー首相が北京入り、中国主席と会談へ 「平和使節」継続
ロイター / 2024年7月8日 9時41分
-
中ロ結束誇示も「すきま風」 習氏、中央アジア歴訪終了
共同通信 / 2024年7月6日 15時33分
ランキング
-
1米副大統領候補のバンス氏、台湾へのパトリオット供与遅れを批判「ウクライナのせい」
産経ニュース / 2024年7月17日 14時38分
-
2トランプ氏は「神の手に守られた救世主」 暗殺未遂、個人崇拝に拍車
AFPBB News / 2024年7月17日 16時29分
-
3「将軍」最多25ノミネート=主演の真田広之さん候補―米エミー賞
時事通信 / 2024年7月18日 4時53分
-
4韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時55分
-
5百貨店で大規模火災 16人死亡 中国・四川省
日テレNEWS NNN / 2024年7月18日 10時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください