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アジア系には家を貸したくない(豪・人種差別調査)

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月28日 19時0分

アジア出身の回答者は、住宅差別が多いと答える割合も高かった。うち13%が差別される回数は「多い」「非常に多い」と回答した。その割合はアジア以外の外国で生まれたオーストラリア人の平均より3倍以上高かった。

住宅差別の被害を受ける頻度が特に高かったのは、北東アジア(15%)および南/中央アジア(16%)生まれの人々だった。東南アジア生まれだと、わずか9%だった。

調査では、両親が2人ともアジア出身の場合は住宅差別を受ける割合が極め高い(44%)ことも分かった。同様に、家庭で英語以外の言語(特にアジア系の言語)を話す人もその割合が高かった(45%)。

南アジア言語(ヒンディー語、タミル語、シンハラ語など)を話す人は住宅差別を受ける割合が跳ね上がり、63%だった。東アジア言語(中国語、日本語、韓国語)を話す人だと55%、英語しか話さない人だとわずか19%だった。

強まる反中感情

これらの調査結果が示すのは、アジア系オーストラリア人による空間の取得や占有が、アングロサクソン系オーストラリア人に対する脅威と見られていることだ。また不動産の仲介業者や所有者の多くが、アジア系の客は怪しい、客として質が劣るという偏見を持っている。まるで、アジア人は生物学的に劣っていると信じられていた植民地時代のようだ。

チャイナタウンへの嫌がらせや、シドニー近郊のカブラマッタやメルボルン近郊のリッチモンドに中国系ベトナム人が大量移民してきたことに対する反発の背景には、アジア系は邪悪で不潔で無秩序だ、というステレオタイプの影響がある。

中国嫌いも強まっている。不動産投資や政党への巨額献金、大学に対する影響力拡大、農地や鉱山の買占めなど、中国人が何か目立つことをすると反発が起きる。中国政府の影響力拡大や地政学上の懸念、中国国内の人権抑圧という背景もそれを助長する。今は議論を通り越して煽情的な言論や過剰反応を引き起こし、中国系住民に対する敵意に変わりつつある。

当局は人種差別禁止の法を執行せよ

住宅のように暮らしに欠かせない市場から特定の人種を排除すれば、埋めがたい格差が生まれる恐れがある。それは健康や雇用、移動や教育などにも影響する。人種隔離や世代間格差など、社会全体の問題に発展する恐れもある。

オーストラリアには、住宅を含むモノやサービスの利用における人種差別を禁じる法律がある。今回の研究結果から、住宅差別は特定の人種、とりわけアジア系で深刻であることが分かった。目に見える不平等に対し、当局の対応が望まれる。

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