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アメリカを諦めはじめた中米移民とメキシコの過酷な運命

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月30日 15時53分



移民キャラバンが到着したティフアナでは、地元住民の手荒な歓迎を受けた。11月18日には500人以上のデモ参加者が市中心部に集まり、「不法移民は出て行け」「侵入者反対」と書いたプラカードを掲げた。メキシコ国家を歌い、「メキシコ・ファースト」(メキシコ第一主義)を唱える参加者もいた。フアン・マニュエル市長は「ティフアナを再び偉大に」と刻印されたキャップ帽をかぶり、中米の移民キャラバンや移民全般に対するドナルド・トランプ米大統領の主張に同調する姿勢を鮮明にした。

そのトランプは11月26日、米当局が催涙ガスを使用したことの正当性を主張し、「移民集団の多くは冷酷な犯罪者だ。メキシコは彼らを本国に送還すべきだ」とツイート。さらにこう続けた。「飛行機でもバスでも好きな手段で行え。ただし移民はアメリカに来させない。必要なら国境を永久に閉鎖する。議会は国境の壁の建設費用を出せ!」

メキシコ次期政権に早くも試練

メキシコにとどまっている移民のなかには、まだアメリカ入りをあきらめていない人もいる。人権擁護団体が懸念するのは、貧困や暴力から逃れてきた移民に対し、メキシコが安全な生活環境を提供できないことだ。さらに米紙ニューヨーク・タイムズは11月26日付の記事で、すでにメキシコはトランプ政権に通せんぼされた移民の集団による人道的危機に見舞われていると指摘。アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール次期大統領は12月1日の就任前から早くも「政治的危機」に直面している、と書いた。

(翻訳:河原里香)



ロバート・バレンシア


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