米中衝突の兆し、米「航行の自由」作戦に業を煮やす人民解放軍
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月11日 16時10分
中国国防相の任国強報道官は当時、記者会見で次のように語っていた。「中国軍は厳戒態勢を維持し、国の主権と領土の保全を断固として守っていく決意だ」
アメリカはロシアと中国に対して軍事面でかなり優位な立場を維持しているものの、近年その格差は縮まってきている。マイク・ポンペオ米国務長官は12月10日に出演したラジオ番組の中で、中国が経済力でも人口力でも成長しつつあることと合わせて「中国はアメリカが中長期的に直面する最大の難題だ」と語った。
12月8日の会議の中で戴旭は南シナ海での緊張の高まりという観点から、中国と台湾の武力統一の問題や、アメリカとの貿易戦争についても言及。1949年に現在の与党・中国共産党に敗れたかつての中華民国の国民政府が逃れた地である台湾(このため中国は台湾を裏切者の省と見なしてきた)を取り戻すための武力行使を支持した。
中国人民解放軍の公式ホームページは戴旭の次の言葉を引用している。「なぜ南シナ海と台湾を戦場にするのか。中国・台湾間の緊張が高まれば、あまり深く考える必要はない。総合的な開発にとって経済が最も重要な側面であり、当然ながら我々はそれを守ることに重点を置くべきだが、再統一のチャンスが訪れたなら、そのチャンスをつかまない理由はない。緊張は再統一を加速させるだろう。そしてそれは、台湾解放の戦いのはじまりになるのだ」
戴旭はさらにこう述べている。「だから我々には、恐れるべきものはあまりない。備えをして待っていればいいのだ。戦略的なチャンスが到来したら、台湾を奪還することができるように」
(翻訳:森美歩)
トム・オコナー
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