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華為Huaweiを米国に売ったのはZTEか?──中国ハイテク「30年内紛」

ニューズウィーク日本版 / 2018年12月12日 13時30分

外販しないハイシリコンの半導体

ハイシリコン社が研究開発した半導体は絶対に外販しないことは、日本の半導体専門家も述べている。12月8日のコラム「Huaweiの頭脳ハイシリコンはクァルコムの愛弟子?」で書いたように、テカナリエの清水洋治氏は「わずか6年で世界トップに、中国半導体メーカーの実力」という講演の中で「'''トップレベルの半導体メーカーを持つHuawei'''」と、ハイシリコン(HiSilicon)社のことを絶賛し、「HiSilicon社は外販をしていません。Huawei社のためのHuawei社によるHuawei社のためのチップなのです。これほど高性能のチップを、中国の他のスマホメーカーに供給し始めたら、Qualcomm社もMediaTek社もあっという間に市場を失ってしまう可能性があります。」と仰っている。



ハイシリコンが外販をしない理由の一つには、今回のコラムで述べたZTEと華為の間の「30年内紛」が横たわっているのである。

実は窮地に追い込まれている習近平

国家戦略「中国製造2025」を国家命運の分岐点として推し進めている習近平国家主席は、実はこのような国内の「内紛」によって窮地に追い込まれているのである。

一党支配体制なのだから、サッサと華為とその子会社ハイシリコンに「半導体の成果を渡せ」と強制すれば、できるはずだろうと、外部からは見えるかもしれない。

それができないのは、ハイシリコンの勢いがあまりに凄いからだ。

たとえばTrendForceが2017年11月に調査した「2017年中国IC関係企業の収益ランキングと収益額」を見ると、

  1位:ハイシリコン・・・・・・・・・・・・ 387

  2位:ユニグループ・スプレッドトラム・・・ 110

  3位:ZTE・セインチップス・・・・・・・・   75

                 (単位:RMB $100million)

となっている。2位のユニグループも3位のZTEも国有企業で、スプレッドトラムはユニグループが買収した半導体企業、セインチップスもZTEが傘下に置いた半導体企業である。いずれも中国政府が間断なく豊富な資金を降り注いでいるにもかかわらず、民間のハイシリコンに負けているのはなぜか。なぜハイシリコンがトップを走り続けているのか?

新しい民主化の形?

人気があるからだ。

若者が「一党支配体制を好んでいない意思表示」を、華為のハイテク製品を購入することによって表現しているのである。これは、一種の、経済力を付けてきた若者たちによる、新しい形の選挙に等しい。

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