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中国の「反クリスマス戦争」? 市政府が共産党の歓心を買うためXmas商戦や飾り付けを禁止

ニューズウィーク日本版 / 2018年12月19日 15時30分

<中国でも過熱するクリスマスのお祝いが突然、禁止になったのはなぜか?>

中国のある都市が、クリスマスセールやデコレーションを禁止した。大量のゴミが出て、グリーン都市としての評価に響くからだという。

中国北部で人口400万人ほどの河北省の廊坊(ろうぼう)市の都市管理局は12月15日、クリスマスツリーや飾り、屋外イベントやプレゼント販売を禁止したと、共産党機関紙の環球時報が報じた。サンタクロースの衣装や、中国ではクリスマスシーズンに食べるリンゴも禁止だという。

とくに12月23日~25日の期間は都市管理局の職員を派遣し、クリスマス禁止を徹底する。この期間に公の場で宗教的な祝祭行事を行った場合は市当局に通報される。もっとも、環球時報が引用した匿名の都市管理局職員は、今回の措置の目的はクリスマスの精神を抑圧することではなく、廊坊市が「全国文明都市」コンテストで高い評価を得ることだと話している。

都市に与えられる最高の賞

この全国文明都市コンテストは3年に1度実施されており、オーストラリア中国研究センターの2017年版「中国事情年鑑」によると、「中国共産党の中央精神文明建設指導委員会によって授与される名誉の賞」とのことだ。

同年鑑には、さらに以下の記述がある。「同委員会は、中国共産党が定めた複数の基準を満たした市政府に、この称号を授ける。これらの基準には、党幹部の教育、法の支配の徹底、治安の維持、消費者環境の推進、新しい文化施設の整備、社会奉仕に関わるボランティア団体の組織化、環境の向上などがある。全国文明都市の称号は、中国の都市に与えられるものとしては最も格上の賞であるため、市政府の幹部の間では是が非でも欲しい賞とされている」



文明都市の評価方法をまとめた「全国文明都市評価作業マニュアル」には、100以上の評価基準が記されているという。中国共産党の党是の拡散、社会的弱者の保護や善行などが含まれる。そして評価基準のいくつかは、環境に関するもの。公共スペースを美しく保つと共に「『エコな』政府であることを示す必要がある」という。

中華人民共和国憲法の第36条には、同国の市民は「宗教信仰の自由を持つ」と定められており、政府が信仰の問題に干渉することを禁じている。中国共産党は公には無神論の立場をとるが、仏教、カトリック、道教、イスラム教、プロテスタントの5つを公認している。

近年の中国では、かつてクリスマス禁止令を出したこともある国とは思えないほど、クリスマスが過熱の一途をたどっている。この時期の売り上げが記録的なものになっていることから、各企業は西側と同様クリスマス商戦に力を入れるようになっており、中国人消費者もすっかり夢中だ。一方で、こうしたブームに対する反動もある。2017年12月には、中国北部にある瀋陽薬科大学の中国共産主義青年団が、「腐敗をもたらす」西洋文化として、クリスマスを祝うことを禁止すると発表した。同様の禁止令は、数はそれほど多くないが、中国各地の学校で発せられている。

(翻訳:ガリレオ)


トム・オコナー

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