【資産運用】なぜ、日経平均のPER は「15 倍が適正」なのか
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月20日 18時0分
PERは完璧ではない
反対にPER14倍程度まで株価が下がると益利回りは7%台に改善するため、"投資魅力度が高い"と判断した買い注文(いわゆる押し目買い)が増えやすくなる。その結果、日経平均は概ねPER14倍で下げ止まったのだろう。
日経平均は流動性などを基準に幅広い業種から選定した225社の集合体だ。つまり、日経平均ベースのPERの適正水準は、日本の上場企業の平均的な業績変動リスクや成長期待で決まることになる。その長期平均的な水準がPER14~16倍に相当する益利回り(6~7%程度)で、これが「日本株のリスクを負担する対価として投資家が求める利回り」と考えられる。
もちろんPERは万能ではない。典型例が2018年2月の株価急落後、14倍割れの状況が続いていることだ(図2の楕円部分)。これは米国発の貿易戦争などを背景に先行き不透明感が高まったため、投資家がより高い利回りを求めていると考えられる。換言すれば、米中の歩み寄りなどをきっかけに投資家心理が改善すれば、EPSが増えなくても株価は上昇するはずだ。
株式投資で"利回り"というと配当利回りが有名だが、益利回りも重要な概念だ。実際に株式などを売買する際はPERという形で、かつ国債金利などとの比較で利用されるが、PERで割安/割高を判定することは、結局のところ益利回りで判定していることと同じ意味である。
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*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。
[執筆者]
井出 真吾 (いで しんご)
ニッセイ基礎研究所
金融研究部 チーフ株式ストラテジスト・年金総合リサーチセンター兼任
井出 真吾(ニッセイ基礎研究所)
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