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数学が得意な日本で、なぜ三角関数が嫌われる? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2019年1月15日 15時20分



2つ目は、関数電卓を使わないという問題です。三角関数の最大のメリットは、あらゆる三角形の辺の長さと角の大きさについて、数値化して議論ができてしまうという点にあります。これは大変に便利な考え方で、例えば測量の場合にしても、あるいは住宅の内装の設計の場合にも、とにかく一部の長さと角度が分かれば、図面の全体が描けてしまい、長さも一発で分かるわけです。

そのような生活や職業の場面で、三角関数を実践的に使うには関数電卓が不可欠です。また、関数電卓を使って三角関数の値を瞬時に得ることができれば、どんどん仕事がはかどるわけですが、その関数電卓でサクサク「三角関数という道具」を使うという訓練は日本の高校ではやりません。

その代わりに、いつまでも鉛筆を使ってルートの計算をしたり、穴埋め問題を解いたりしているわけです。これでは、三角関数の面白さも便利さも全く伝わりません。

橋下氏の議論に振り回される以前に、とにかく日本の教育現場を通じて三角関数嫌いを量産している現状を改善すべきだと思います。これからの日本は、金融やソフトなど「脱モノづくり」に進むべきですが、それでも論理性を鍛える訓練は余計に大切になってくるわけで、三角関数を含む数学の学力は、より重要性を帯びてくるということもあります。

教育無償化の時代に、関数電卓を買わせるのは大変という声もあるかもしれませんが、その心配は無用です。現在のスマホは、アンドロイドOSでも、iOSでも、計算機アプリを立ち上げて横に向ければ、瞬時に関数電卓機能が使えるようになっているからです。

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