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寄せ集めコラージュで「優等生国家」スイスの仮面を剥がす

ニューズウィーク日本版 / 2019年1月22日 17時30分

「最も高度に組織化され、どこよりも感情に乏しい土地と、最も組織化されておらず、どこよりも感情が豊かな土地がある。文化的な観点からは、アフリカは常に、世界にとって魂と人間味にあふれる芸術の源だ」

『ザ・パック』展で展示された絵画『スイス』 (c)TOM SACHS, PHOTO BY GENEVIEVE HANSON, COURTESY TOM SACHS STUDIO AND VITO SCHNABEL GALLERY

展覧会名と同じタイトルの作品(冒頭写真)は、旧西ドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスが69年に発表したインスタレーション『ザ・パック』をオマージュしている。フォルクスワーゲンのバスの後部ドアが開け放たれて、毛布や懐中電灯などサバイバル用品を積んだ24台の木製のそりが連なっている作品だ。

サックスの『ザ・パック』はスイスの旗の前に、そりの代わりに3台のオートバイが並んでいる。実際にエンジンもかかる3台は、1506年からバチカンとローマ法王(教皇)を警護するスイス衛兵隊の象徴でもあると、サックスは言う。

「ミケランジェロがデザインしたとされる紫と黄色の奇抜な制服を着た彼らは、正真正銘スイス軍の精鋭だ。長いおのや剣を掲げているが、その下に拳銃を所持している」

永世中立国を名乗るスイスにとって究極の皮肉だが、「私は敬服してもいる。警察が必要なら、善い警察が欲しい。腐ったリンゴは要らない。アメリカの警察と違って、黒人が車を運転しているだけで停止を命じられることもない」。

<本誌2018年01月22日号掲載>



※2019年1月22日号(1月15日発売)は「2大レポート:遺伝子最前線」特集。クリスパーによる遺伝子編集はどこまで進んでいるのか、医学を変えるアフリカのゲノム解析とは何か。ほかにも、中国「デザイナーベビー」問題から、クリスパー開発者独占インタビュー、人間の身体能力や自閉症治療などゲノム研究の最新7事例まで――。病気を治し、超人を生む「神の技術」の最前線をレポートする。


メアリー・ケイ・シリング


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