育児の悩みや反抗期は「うちの子」だけの問題じゃない
ニューズウィーク日本版 / 2019年1月23日 16時0分
児童相談の統計で見る限り、大変な年齢は2~5歳と13~14歳のようだ。前者の時期では「育児・しつけ」関連、後者の時期では「問題行動」関連の苦労が大きい。先にも述べたが、前者は「第1次反抗期」、後者は「第2次反抗期」に相当する。
第1次反抗期では、自我が芽生え自由に体を動かせるようになった子どもが、親への全面的な依存を脱し、自分のやりたいことをしようと思うようになり、それが親への反抗となって表われる。
第2次反抗期は親離れを志向し始める時期で、親を否定し、場合によっては親と激しく衝突する。親のいうことを無視する、暴言を吐く、さらには暴力を振るうなど、反抗の形態もエスカレートする。上記のデータは、このような一般的な見解と合致している。
しかし、反抗もやがて終息する。事実、非行相談はピークを過ぎると潮が引くように急減する。子どもが反抗期を迎えると親は戸惑うが、子どもが自我を確立し、大人になるために必要な道程でもある。わが子だけが異常と思うのは間違いだ。この時期の苦労は多くの家庭が経験することで、嵐はやがては過ぎ去り、再びやってきては、また過ぎ去る......。こうした長期的な展望がないと、現状に対する焦りや苛立ちばかりが高じ、虐待や家庭内暴力のような病理現象も起きやすくなる。
「わが子」の目先の問題に翻弄されるだけでなく、時には一歩引いて「鳥の目」を持つことも必要だろう。マクロな統計はこういう時に役立つ。
<資料:厚労省『福祉行政報告例』>
舞田敏彦(教育社会学者)
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