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和解か決裂か、重大局面迎える米中貿易協議 主な対立点と見通し

ニューズウィーク日本版 / 2019年1月30日 8時49分

●中国は報復策を講じたか

講じている。大豆、牛肉、豚肉、シーフード、ウィスキー、エタノールなど500億ドル相当の米国製品に25%、液化天然ガス(LNG)、化学製品、冷凍野菜など600億ドル相当の米国製品には5─10%の関税を課した。主にボーイングが製造する商用機はまだ関税対象となっていない。トランプ氏と習近平国家主席は昨年12月、協議中は新規関税導入を見送ることで合意した。中国側は米国製自動車への関税適用も停止し、米国産大豆買い入れを再開している。



●協議の進展状況は

米国は、中国が2018年春に提案した米製品購入拡大策を拒否し、対中関税導入手続きを進めた。そして12月のブエノスアイレスにおける両国首脳会談では、強制技術移転や知的財産保護、非関税障壁、サイバー攻撃などの構造問題を話し合うことが決まった。ただこうした問題に関して今月行われた協議ではまだ進展は乏しい。中国側はその代わりとして対米黒字解消のために米国製品の買い入れを増やすことを提案した。

●米国は製品購入を基本とする提案を受け入れるか

トランプ大統領は合意達成に楽観的で、中国経済の勢いが弱まっているので彼らは交渉しようという動機があると発言している。しかしトランプ氏のアドバイザーは、大統領は知的財産とそれに関連する問題で中国に対する構造改革要求を緩めるつもりはないと話す。

ロス商務長官ら一部の政権高官は、今週の閣僚級協議に対する期待が高まり過ぎるのを抑えるため、両国は問題解決からかなり距離があるとくぎを刺した。

米国の主な要求の1つとして、中国が約束した構造改革の進ちょくを定期的に点検する仕組みを導入することがある。この仕組みでは、米国は恒久的に関税導入の脅しをかけられる。

●今週の協議はどうなるか

両国ともに一定の進展があったと表明する可能性はあるが、懸案の構造問題でまたも行き詰まりが見えれば、3月までの合意にとってマイナスの材料と受け止められるだろう。投資家は米国の追加関税導入に備えることになる。

もっとも貿易協議は土壇場まで予断を許さない傾向があり、最終的な結果は2月末まで判明しそうにない。何らかの合意ができても、トランプ氏と習氏の承認が必要だ。

もしそれなりの進展があれば、両国は協議期限を延ばして交渉を続ける事態もあり得る。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でもそうした動きがしばしば見られた。[ワシントン 28日 ロイター]Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




※ニューズウィーク日本版2019年2月5日号は特集「米中激突:テクノナショナリズムの脅威」。
なぜ中国はAIの競争で欧米より優位にあるのか、アメリカはこの戦争をどう戦うべきなのか――。詳しくは「米中激突:テクノナショナリズムの脅威」特集をご覧ください。

ロイター


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