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中学受験は子どものため? それとも親のため?

ニューズウィーク日本版 / 2019年1月30日 13時15分

最近、「教育虐待」という言葉が飛び交っているが、虐待の元々の意味は異常なやり方で使役することだ。虐待の英語表記「abuse」を分解すると,「ab+use」となる。昔は、この意味合いで虐待という語が使われていた(家計補助のために子どもを働かせる、女児を芸者に仕立てるために無理やり芸を仕込むなど)。現在ではこうした「abuse」はほぼ皆無だが、別の「abuse」が生じつつある。親の見栄や欲求充足のため、幼い子どもに早期受験を強いることは、これに含まれると見ていい。

あまり知られていないが、小・中学生の自殺動機で最も多いのは「学業不振」だ。いじめを苦にした自殺ではない。近年になって生じた傾向なのかどうかは定かでないが、早い年齢から期待圧力を受けていることがうかがわれる。

少子高齢化で逆ピラミッドの人口構成になるなか、上の世代が少数の子どもに向ける期待圧力が強まっている。近い将来、「子ども1:大人9」の社会になったらどういう事態になるか。子どもが手厚く保護される一方で、彼らにとって「生きづらい」社会になっているかもしれない。保護者は、養育態度に歪みがないよう注意しなければならない。

<資料:東京都教育委員会『公立学校統計調査(進路状況編)』(2018年度)、
    同『東京都の学校保健統計』(2017年度)>


舞田敏彦(教育社会学者)


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