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EUと日本が作る世界最大貿易圏がトランプに勝つ日

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月6日 18時30分

EUとの貿易拡大のチャンス

日・EU経済連携協定のもとで、日本は欧州から輸入する製品の97%、EUは日本から輸入する製品の99%について関税を撤廃する。日本向けに商品を輸出するEU企業はこれまで年間約10億ユーロの関税を支払っていたが、EPA発効後はその大半が撤廃される。自動車輸出など、長年にわたる多くの障壁も取り除かれるだろう。

この協定により、日本の1億2700万人の消費者市場が主要なEUの農産物に開放され、金融サービスのような分野でもEU企業が進出するチャンスが拡大するだろう。日本が今後、農産物の関税を撤廃していくにつれ、ヨーロッパ各国はチーズ、豚肉、ワインなどの消費財の輸出で大きな利益を得ることになる。

日本がヨーロッパとの通商協定に最も期待していたのは、自動車産業の輸出増加だった。 EUは現在日本製自動車に10%の関税を課しているが、今回の協定では、8年かけてゼロに引き下げることになる。自動車と自動車部品は日本の対ヨーロッパ輸出の約5分の1を占めているが、ヨーロッパの自動車市場における日本の自動車メーカーのシェアはたったの10%でアメリカやアジアよりはるかに低い。

共通の価値観と原則を確認

こうした改善点に加えて、この経済協定は様々な分野における日欧間の協力体制を強化する助けとなるだろう。持続可能な開発に対する取り組みの共有が再確認され、パリ条約に基づく気候変動への取り組みも盛り込まれている。これは貿易協定として初めてのことだ。

EU企業が日本に輸出する商品はすでに毎年580億ユーロ以上、サービスは280億ユーロを越える規模に達している。経済協定のもとでヨーロッパの対日輸出はさらに増加し、戦略的パートナーシップ協定のおかげで日欧関係はさらに前進する。世界や地域、二国間の幅広いテーマについて相互の関わりは深まるだろう。協定によって人権や民主主義、法の支配など、日・EU関係の基礎を形成する共通の価値観と原則も再確認された。

EUと日本の経済をあわせると世界のGDPの約3分の1を占める。したがって、この新しい貿易協定は世界経済を活性化するとともに、世界有数の2つの経済大国による多国間協調主義に対する強い決意を示すうえで重要なものになるはずだ。

Emil Kirchner, Emeritus Professor, Department of Government, University of Essex

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.



エミール・クリシュナー(英エセックス大学政治学部名誉教授)


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