独裁者マドゥロを擁護する「21世紀の社会主義」の無責任
ニューズウィーク日本版 / 2019年2月15日 17時10分
もし、かつてレーニンが言ったように、帝国主義が「資本主義の最高の段階」であるなら、欧米の左派が喧伝する曲解された反帝国主義は、現代の社会主義の最も下劣な形だ。このお粗末な理念の信奉者たちは、ベネズエラやシリアの活動家やデモ参加者、そして野党政治家たちを、主体性のないアメリカ資本の人質のように見なしている。
ベネズエラ暫定大統領就任を宣言したフアン・グアイド(国際組織の社会主義インターナショナルのメンバーでもある)のような中道左派の政治家は、アメリカから支持されているだけで「極右野党」と中傷される。帝国主義者トランプはマドゥロを嫌っている。故にマドゥロの犯罪は許される。あるいはアメリカの陰謀が原因だ――。
欧米諸国の左派・反帝国主義者たちは、アメリカはベネズエラの内政に干渉するべきではないと言う。結構だ。しかしそれなら、検事総長から反体制派に転じたルイサ・オルテガ・ディアスや、デモを組織したとして4年間服役したレンソ・プリエト、あるいは国民議会が立ち上がったとき、なぜ沈黙していたのか。
反帝国主義者たちの理想どおり、自国の問題に立ち上がった彼らに対して、だんまりを決め込むなんて、あんまりだ。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年02月19日号掲載>
※2019年2月19日号(2月13日発売)は「日本人が知らない 自動運転の現在地」特集。シンガポール、ボストン、アトランタ......。世界に先駆けて「自律走行都市」化へと舵を切る各都市の挑戦をレポート。自家用車と駐車場を消滅させ、暮らしと経済を根本から変える技術の完成が迫っている。MaaSの現状、「全米1位」フォードの転身、アメリカの自動車ブランド・ランキングも。
ジェームズ・ブラッドワース(ジャーナリスト)
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