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消費税対策としてのキャッシュレス化のメリット、デメリット

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月15日 18時0分

また、消費者目線になっておらず、歪んだ消費行動を助長しかねないという問題も生じるだろう。ポイント還元が中小企業対策との位置づけになっており、中小企業で消費者が購入しないとポイント還元を受けられない。小売業が大半を占める中小企業で高所得者(高い購入頻度が期待できる層)向けの商品が店舗にならぶ、といった歪んだことが起きかねない。

成長戦略として、今からポイント還元終了後の政策を議論すべき

消費者目線でキャッシュレス決済を定着させるには、まずもって「安心」が必要だ。通信障害、停電、バッテリー切れなどの回避、多重債務問題なども検討されなければいけない。

その上で、社会インフラとして定着させるには、キャッシュレス決済で支払った消費額に対する税優遇などの方法も検討に値するのではないだろうか。

キャッシュレス化が進めば、蓄積されていくデータが企業の競争力を高めるだけでなく、政府にとっても、事務コスト軽減や「地下経済」の規模を縮小する上で重要な役割を果たす。税収増となることも期待できる。

今回は短期間での利用拡大を目論む施策だが、将来にわたってキャッシュレス決済が、日本の社会・経済に根付いていくための議論をすぐにでも開始すべきだ。


*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。

[執筆者]
矢嶋 康次 (やじま やすひで)
ニッセイ基礎研究所
総合政策研究部 研究理事
チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (ニッセイ基礎研究所)


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