アマゾン、2年連続税金ゼロのからくり
ニューズウィーク日本版 / 2019年2月19日 17時0分
<本来は利益のざっと半分を国と州に法人税を納めるはずが、あの手この手で実効税率はマイナス1%!>
世界最大のeコマースサイトでクラウドコンピューティング企業のアマゾン・ドットコムは、2年連続で米連邦税を1セントも払わないことがわかった。
アマゾンは、2018年の売上額は2392億ドル、課税対象の純利益は112億ドルだったと発表した。2017年の56億ドルと比べてざっと2倍の儲けだ。
これほど巨額の利益を上げておきながら、連邦税をまったく払わずに済むのは、税法上の抜け穴を巧みに利用しているからだ。加えて、トランプ米大統領が2017年に成立させた税制改革法(TCJA)による巨額減税の恩恵も受けている。税制・経済政策研究所(ITEP)の報告書によると、トランプ減税のおかげで、アマゾンが2018年に支払うべき連邦法人税率は35%から21%に下がった。
アマゾンは2017年度も、56億ドルの利益を上げながら払った税金はゼロだった。
ITEPの連邦税政策部門ディレクター、スティーブ・ワムホフは、「アマゾンがどんな手を使っているのか、正確に知ることは難しい」と述べた。
「アマゾンは税務戦略を公表していないので、どのような抜け穴を利用しているのかはわからない。同社は漠然と税控除を利用したと言っているだけだ。トランプ減税で拡充された事業用固定資産の即時償却など、企業が取り得る方策はいくらでも考えられる」
ITEPの説明によると、トランプ減税によって、法定法人税の税率は35%から21%へと大幅に引き下げられた。法人税率が下がったことに加え、トランプ減税には「おびただしい数の抜け道がある。それによって、利益のほぼ半分に課税される連邦と州の法人税を、当たり前のように回避している」と、ITEPのシニアフェロー、マシュー・ガードナーは指摘する。
税還付も2年連続
アマゾンは2011年から2016年まで、11%を超える税率で連邦法人税を払ってきたが、トランプ減税に乗じることで、その税率が今年はマイナス1%になる。それに税控除などを加えた結果、アマゾンは1億2900万ドルもの還付金を連邦政府から受け取るというから呆れる。昨年の還付金はさらに多く1億3700万ドルだった。
ITEPのガードナー(※)によると、アマゾンの税逃れをさらに助けているのは、従業員の持ち株と幹部に与えたストックオプションだ。その総額を控除することができる。
アマゾン創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは、推定1362億ドルの資産を持つ、世界一裕福な人間であることは言うまでもない。
(翻訳:ガリレオ)
※「IT調査会社のガードナー」は「ITEPのガードナー」の誤りでした。お詫びして訂正します(2019年2月20日11時30分)。
アーサー・ビラサンタ
この記事に関連するニュース
-
【事業売却】「税引後の売却対価」はいくら?個人・法人の「株式の譲渡所得」にかかる税金を計算
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月19日 8時15分
-
UAE、大規模多国籍企業の法人税率を15%に引き上げ(アラブ首長国連邦)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月13日 1時15分
-
高すぎた「クルマのガソリン価格」引き下げへ! 目的のない「暫定税率」廃止が決定に 「トリガー条項」「補助金」はどうなる? 実際「どれくらい安く」なるのか
くるまのニュース / 2024年12月12日 13時30分
-
アングル:トランプ氏の大規模減税、「債券自警団」がブレーキも
ロイター / 2024年11月26日 11時33分
-
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース / 2024年11月21日 9時42分
ランキング
-
1アサド政権下の刑務所で5万人以上が死亡か シリア
日テレNEWS NNN / 2024年12月20日 9時42分
-
2FBIがスパイ容疑で中国籍の男逮捕…台湾問題巡り、市議を懐柔する狙いで活動か
読売新聞 / 2024年12月20日 11時49分
-
3原油先物は続落、中国需要懸念やドル高で 週間で2%超安の水準
ロイター / 2024年12月20日 12時0分
-
4ロシア大統領は「狂っている」 ゼレンスキー氏が強く非難
共同通信 / 2024年12月20日 10時3分
-
5ウクライナ軍に虐待スキャンダル、隠蔽疑惑の旅団長を拘束
AFPBB News / 2024年12月20日 11時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください