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仏イエローベスト運動も侵食し始めた反ユダヤ主義

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月20日 19時0分

フランスのメディアの中には、マクロン政権の燃料税引き上げを発端に広がった「イエローベスト」運動を非難する声もある。運動の参加者のなかには、反ユダヤ的なシンボルやイメージを掲げる小グループや個人がいるからだ。運動全体が反ユダヤ主義ではないことを指摘する専門家もいるが、中心的な存在がいないため、一部の反ユダヤ集団や個人が混じっていても排除はできない。

「イエローベストは反ユダヤ主義の運動ではない」と、フランス国際関係戦略研究所(IRIS)の上級研究員ジャン・イブ・カミュはフランス通信社に語った。「だがリーダーのいない水平方向の運動だ。そして極端な主張をする参加者が、メディアで目立ち、著名な主力メンバーの声をかき消してしまっている」



イエローベストの抗議運動はもともと、社会サービスの削減や富裕層への減税および経済の自由化といったマクロン政権の政策に抗議する動きで、数カ月間にわたってフランス全土に影響を与えている。

ガーディアン紙によれば、パリ在住のユダヤ教のラビ(宗教指導者)ドルフィーネ・オルビジェウールは、イエローベストの代表らに対し、参加者のなかの反ユダヤ主義を非難するよう依頼したという。

ヨーロッパの他の国々でも反ユダヤ主義の台頭が目立っている。ユダヤ人組織は反ユダヤ主義と人種差別を促進する極右運動の拡大に警鐘を鳴らしている。ドイツ政府は最近、2018年に反ユダヤ的な攻撃が10%増加したことを示す犯罪統計を発表した。そのうち物理的な暴力行為は60%も増加している。

(翻訳:栗原紀子)



※2019年2月26日号(2月19日発売)は「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」特集。基地をめぐる県民投票を前に、この島に生きる人たちの息遣いとささやきに耳をすませる――。ノンフィクションライターの石戸諭氏が15ページの長編ルポを寄稿。沖縄で聴こえてきたのは、自由で多層な狂詩曲だった。


ジェーソン・レモン


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