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北朝鮮は核開発を継続している、元CIA分析官が警告

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月22日 17時4分

<北朝鮮は核を手放さないという政権幹部や専門家の意見も聞かず2度目の米朝首脳会談に臨むトランプのやり方に募る不安>

北朝鮮はまだ核兵器の廃棄や削減に応じていない、それどころか核開発は続いていると、朝鮮半島専門家である元CIA(米中央情報局)分析官が警告した。

「ご存知の通り、(昨年6月の)シンガポールでの米朝首脳会談以降、非核化は全く進んでいない」と、CIAで朝鮮半島情勢の分析責任者を務めていた米シンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングナー上級研究員は2月21日、同財団が主催したジャーナリストとの討論会で語った。

「非核化どころか、北朝鮮は核開発を継続している」と彼は言い、北朝鮮が核能力を拡大・向上させたことを示す衛星写真や米情報機関による報告書を提示した。

ドナルド・トランプ米大統領は昨年6月、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と史上初の米朝会談に臨んだ。会談後トランプは、金は非核化のプロセスを「非常に迅速に」始めるだろう、と報道陣に語った。

そして来週2月27日、28日の両日、トランプと金はベトナムで2回目の米朝首脳会談を開く。

トランプの主張と食い違い

「北朝鮮が非核化を決断したのか私は知らないが、アメリカが核問題で北朝鮮と交渉しているのは、北朝鮮が完全な非核化を選択する余地はあると信じるからだ」とクリングナーが言ったと、米CNNは報じた。「北朝鮮との交渉の優先順位をトランプが高く設定したのは、そのためだ」

1月29日にはトランプ政権の国家情報長官ダン・コーツも上院情報特別委員会の公聴会で、北朝鮮が核兵器を手放す可能性は低いと証言した。

「われわれの現在の分析では、北朝鮮は今後も大量破壊兵器の能力維持を追求し、核兵器と製造能力を完全に放棄する可能性は低い。北朝鮮の指導者たちは(金正恩)体制存続には核兵器が不可欠と見ているからだ」「完全な非核化とは矛盾する活動が見て取れる」



コーツのこの証言にトランプは激怒している。翌朝にツイッターを連発し、コーツや他の情報機関トップは「だまされやすい」、「学校でやり直せ」などと扱き下ろした。

「ホワイトハウスの関係筋の話では、もうすぐ国家安全長官の交代が必要かもしれない、という空気がある」と、トランプの長年の友人で実業家のクリストファー・ラディーは2月18日にCNNの番組で言った。

イラク戦争の二の舞を懸念

トランプがコーツのように自分が指名した情報機関トップの見解さえ聞くのを嫌がっていることに対しては、アメリカの外交政策に悲惨な結果を及ぼす恐れがあると一部のアナリストは懸念する。

米国家テロ対策センターの副長官を務めたフィリップ・マッドは2月19日にCNNの番組に出演し、2003年のアメリカによるイラク戦争開戦当時と似ていると言った。

「私がCIA分析官として在任中、イラク戦争開戦の是非をめぐってCIAは(ジョージ・W・ブッシュ)大統領に肩入れし過ぎたのではないか、という疑問が上がっていた。同じ失敗を2度繰り返すようでは、救いようがない」

(翻訳:河原里香)


ジェイソン・レモン

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