「徘徊型」自爆ドローンがもたらすもっと危険な暗殺戦争

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月25日 18時0分



きわめて攻撃性能が高いにもかかわらず、これまで自爆攻撃する無人機は戦闘ではほとんど使われていなかった。戦場で飛び回る無人兵器の存在が世界中でよく知られるようになったのは、2001年にアフガニスタンで戦争が始まって以降のことだ。偵察、暗殺または単なる宣伝工作に使われる場合もあるが、無人機は現代の戦争の代名詞になっている。

だが徘徊型兵器の使用が報告されたケースは、2016年のアルメニアでの攻撃と、ベネズエラ、シリア、イラク、イエメンの過激派および反政府勢力によるいくつかのローテクな活動に限られている。

国以外でこの兵器を使いこなしているのは、間違いなくイエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシー派だ。この組織はサウジアラビアとアラブ首長国連邦が率いる連合国が支援するイエメン政府と戦っている。

4年にわたる戦闘の間、フーシー派は、戦闘力でも技術でも資金力でもかなわない敵と戦うために、予想も対抗も困難なゲリラ的戦法をとってきた。イランとの密接な関係も、彼らの戦術と戦略を特徴づけており、彼らが何度か使用した徘徊型のQasef-1戦闘用ドローンはイランの武器システムとあやしいほど似ている。

自律攻撃もありうる

フーシー派は独自に開発した無人兵器で、敵の軍事拠点や空港、レーダー装置を攻撃してきた。そのすべてが自爆タイプというわけではない。弾頭を運ぶものもあれば、単に速くて正確な誘導ミサイルとして使用されているだけという場合もある。

被害を増やすために、人口密集地域の上空で爆発させる兵器が使われたこともある。たとえば今年1月、イエメンで行われた軍事パレードに自爆ドローン攻撃が仕掛けられ、上級司令官を含む兵士数人が殺害された。フーシー派が頻繁に使用するのは比較的初歩的な技術だが、こうした武器の威力と適性が実証されたことは確かだ。

もちろん、他のドローン戦争と同様に、このニッチな武器の使用には倫理的な問題がある。誘導装置付きの他の兵器は一般的に作動する時間が短い。オペレーターが、敵の活動があると予想してはじめて、標的または地域に対して使用される。

しかし、徘徊型兵器の場合、無人機は標的が姿をあらわすのを待つ間、一度に数時間も同じエリアの上に留まることができる。そして、一部の人が警告しているように、徘徊型兵器が事前にプログラムされた一連の基準に基づいて自律的な攻撃の決定を下す能力を与えられている場合、その場を徘徊し、搭載されたソフトウェアの判断に基づいて自ら攻撃するようになるだろう。

電波妨害でも堕ちない

無人機は今のところ、操縦する人間とのGPSまたは無線リンクを必要としているため、ブロッキング(強制遮断)やハイジャックに弱い。

だが、武器がより自律的になり、AIの能力が向上するにつれて、無人機は目立つ建物、軍司令官、その他の重要な標的を視覚的に見つけて攻撃する可能性がある。そうした兵器が一度に大量に仕掛けられたら、破壊力はきわめて高いものになる。

現代の軍隊は依然として最も破壊的な任務については、レーザー誘導兵器と巡航ミサイルに頼っている。だが時間的な余裕、正確さ、そして常に制御可能であるといった利点を備えた自爆型無人機は魅力的だ。やがて、前線で戦う兵士たちは、それぞれが無人機を携行して使いこなすようになるかもしれない。

(翻訳:栗原紀子)


デービッド・ブレナン


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