UFOの軍事研究、中露がアメリカを抜く?
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月4日 18時0分
<宇宙人の存在を信じ、アメリカのUFO研究を支援してきたリード元上院院内総務が、UFO調査の継続を訴えた>
アメリカのハリー・リード元上院院内総務(民主党)は2月27日、ラスベガスのテレビ局KLASチャンネル8に出演し、未確認飛行物体(UFO)の研究開発でロシアと中国が激しく追い上げてきている、と警告した。
「中国がUFO研究にかなりの資金を投じているのは間違いない。KGB出身のプーチンもそうだ」と、リードは言う。「アメリカもUFOの調査を継続すべきだ」
「リード元上院議員は、ロシアと中国はUFOを軍事的に研究している、自分たちのUFOを作るためだ、とほのめかします」と番組のリポーターは言い、フロリダ沖とバージニア沖では過去3年間でUFOの数十件目撃された、という国防総省筋の主張を紹介した。
国防総省や米政府の研究機関が、UFO(または「未確認空中現象(UAP)」)の研究に懐疑的なのかは理解できる、と前置きしたうえで、リードはこう続けた。
「UFOは長年、謎に包まれてきた。カリフォルニア州から発射されたロケットの類、という説もある。国防総省でもどこでも、責任ある立場の人々は、とても説明のつかない現象に直面して困っている」
UFO信じる大富豪ビグローの周りはで奇怪な現象が
米紙ニューヨーク・タイムズが2017年12月に報じて大騒ぎになったUFO映像にも話が及んだ。米国防総省が2007年から秘密裏に実施していたUFO調査の一つ、AAWSAP(先進航空兵器システム応用プログラム)の報告書に、2004年にカリフォルニア沖で米原子力空母ニミッツの艦載機であるFA18攻撃機2機が、白っぽい楕円型のUFO(愛称Tic Tac)を目撃したことが報告されていたのだ。以下が、その映像だ。
米国防情報局はAAWSAPを通じて、ホテル経営者で大富豪ロバート・ビグローが所有する調査会社「ビグロー・エアロスペース先端宇宙研究所」(BAASS)に1000万ドルの資金を投じていた。ビグローはリードの旧友で、長年UFOの研究を続けてきたことでも有名だ。
ビグローがかつてユタ州北部で所有していたミステリアスな牧場も国防総省の調査対象に含まれていたと、リードは認めた。UFOファンの間で「スキンウォーカー牧場」として知られるその土地は、超常現象が頻発することで知られる。UFOの仕業とされる「キャトルミューティレーション(動物が襲われ、死体から血が抜き取られる怪現象」やUFOの目撃情報、さらには銃弾をものともしない黄色い目をした怪奇動物の情報も寄せられていた。
AAWSAPはUFO研究にも力を入れ、米国防情報局のために38の研究報告書が作成された。そのタイトルには、ワープドライブ、暗黒エネルギー、次元操作、スターゲイトなど奇抜なアイデアが散りばめられている。
これまでに公表されたAAWSAPの研究の評判はイマイチだ。「理論物理学を部分的に抜き出して盛れば、あたかも(ワープは)実現可能のように思えるが、それは違う」と、米カリフォルニア工科大学の理論物理学者ション・キャロルは昨年、米ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」に語った。「ワープは物理学の世界では現実的な話だが、すぐに実現できるものではない」
リードは今後は、既存の研究分野を統合したUFO研究が進むのを見てみたいという。政治家として彼が資金を集めた研究以外でも、米政府は今「様々な証拠を握っているはず」だからだ。
(翻訳:河原里香)
アンドリュー・ウォーレン
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