500年間誰も気づかなかったダビデ像の「目の秘密」【名画の謎を解く】
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月18日 15時5分
画像:Shutterstock.com
1992年、スタンフォード大学のコンピュータグラフィックスを専門とするマーク・リーボイ教授が、ローマやフィレンツェの協力を得て多数のミケランジェロの作品を3Dスキャンする計画を行なった。これが「デジタル・ミケランジェロ・プロジェクト(the Digital Michelangelo Project)」だ。そのデータをもとに、ダビデ像に関して多数の研究がなされた。
聖書の中には、ダビデが斜視だったことを示唆する記述はない。そのことも知った上で、ミケランジェロは、すべての角度からの見栄えを計算し尽くして造っていたに違いない。ある説では、像から見て右側は、体のバランスも取れていて安定している「静」の状態を、左側は、足を投げ出し髪も乱れた「動」の状態にあるという。
目に関して言えば、左目は体の動きに準じて敵をまっすぐに睨みつけているが、右目は力と機知と知性をたたえた眼差しに見える。この像があまりにも大きく、顔の高さで正面から見られることはないとミケランジェロは踏んで、左右の視線の違いは無視したのだろう。
自分の作品が3Dスキャンされる時代が来るなど想定外だったに違いない。もし本当にダビデが斜視だったのなら、矯正用のメガネなしに石投げ器で遠方のゴリアテを一発で倒すのは、なかなか至難の業だったに違いない。
ダビデの背中の筋肉が欠けていることも指摘された
ミケランジェロの彫刻のデジタル化によって、ミケランジェロの作品の「欠陥」とも思える部分が発見された。カレッジ大学病院のマッスィモ・グリサーノ医師とフィレンツェ大学のピエトロ・ベルナベイ教授は、ミケランジェロのダビデ像の3Dデータを検討した結果、ダビデの背中の筋肉が欠けていることを指摘した。
通常、右の肩甲骨と背骨の間は、筋肉によって盛り上がるはずなのに、むしろくぼんでいる(図の青矢印)。
画像:Shutterstock.com
ここには脊柱起立筋が走り、上層に僧帽筋が存在している。脊柱起立筋は、背骨の左右を縦に走る強力な筋肉のこと。「頚腸肋筋」、「胸腸肋筋」、「腰腸肋筋」、「頭最長筋」、「頚最長筋」、「胸最長筋」、「頭棘筋」、「頚棘筋」、「胸棘筋」といった筋の総称であり、それらが何層にも重なり合っている。脊柱を支え、姿勢を維持するのに大切な筋肉である。
また、僧帽筋は、肩甲骨を安定させ、ひいては上肢全体を支えるのに重要な筋肉である。肩甲骨を背骨に引き寄せると、僧帽筋が働いてこの部分が盛り上がる。この姿勢で僧帽筋をそれほど緊張させていないにしても、もっとふくらんでいてもよいはず。
この記事に関連するニュース
-
マギー 僧帽筋がスゴイ!背中見せトップス姿が話題「めっちゃ綺麗な背中」「後ろ姿もカッコイイ」
スポニチアネックス / 2024年5月7日 14時50分
-
島袋聖南、ビキニ姿で“たくましい僧帽筋”を披露! 「胸元羨ましすぎる」「女性が憧れるスタイル」
オールアバウト / 2024年5月1日 11時55分
-
【ムンクは実は叫んでいない!?】『世界のスゴイ絵画』発売! へぇ~な解説とデッカイ絵で鑑賞スキルが育つ名画ガイド、爆誕!
PR TIMES / 2024年4月25日 11時45分
-
線維筋痛症による激痛が大幅軽減 『緩消法(かんしょうほう)』初の英語論文掲載
@Press / 2024年4月25日 10時0分
-
かわいいデザインの「手のひらダンベル」発売 - 日々の散歩が全身運動のエクササイズに!
マイナビニュース / 2024年4月23日 11時29分
ランキング
-
1イラン大統領、事故で死亡=不時着ヘリ発見
時事通信 / 2024年5月20日 13時39分
-
2イラン大統領死亡、中東の状況注視する=林官房長官
ロイター / 2024年5月20日 16時50分
-
3ロシア企業が開発のAI、「ひどい臆病者」と前大統領激怒…ウクライナ問題に「勉強中」とのみ回答
読売新聞 / 2024年5月20日 17時23分
-
4アングル:「働いた証ない」、労働者の権利求めるメキシコのセックスワーカー
ロイター / 2024年5月20日 8時52分
-
5台湾の頼総統、中国に軍事威嚇の停止呼びかけ 「世界平和への挑戦」
産経ニュース / 2024年5月20日 13時35分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください