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韓国と日本、政治と観光は別──両国を行き来する人々は増加中

ニューズウィーク日本版 / 2019年3月19日 18時30分

また、日本人乗客はマナーがよく、折り返しの清掃時間が短時間で済むなど航空会社にとって効率が良い。そうしたこともあって国内競争が激しくなった韓国のLCC各社が日本路線の拡充に乗り出している。

金浦空港にて

また、韓国の国内観光地のコンテンツ不足も訪日観光客の増加に拍車をかけている。郷土食など韓国の地方都市で注目を浴びたコンテンツはソウルに集まる。ソウルで磨きをかけられ、市民権を得たメニューやコンテンツは全国に広がっていく。たとえば韓流ドラマや映画がブームになると、観光地は右へ倣えと模倣する。

国内どこに行っても同じようなコンテンツで溢れかえり、国内観光の魅力は失われていく。済州島は独自のコンテンツが多いが、中国人旅行者が増加するとホテルの予約が困難になるなど価格が高額化した。いっぽう日本は韓国にはないコンテンツで溢れている。地方特有の文化もある。さらに訪日旅行は国内旅行より安くなった。

一方、日本でも首都圏から九州に旅行するより、時期によってはソウルに行くほうが安い。LCCの直行便が就航している地方都市など、国内旅行より韓国旅行が安いところが少なくない。



韓国の航空会社は過当競争と専門人材不足

しかし、LCC特有の問題も起きている。フルサービス航空会社(FSC)は利用する座席クラスや会員ランクに応じて荷物を預け入れることができるが、LCCは預入れが制限され、受託手荷は別料金というクラスもある。

訪日観光客に人気の香水や訪韓観光客に人気の化粧品など、機内への持ち込みが制限されている上、ショッピング旅行は帰りの荷物が多くなる。仁川と関西空港を往復10万ウォンで利用できる割引航空券は、荷物は有料で、20キロ以下の受託手荷物は往復7万ウォン前後となっている。

そんななか韓国国土交通部は、エアプレミア、エアロケイ、フライ江原の3社に国際航空運送事業免許を発行すると発表した。エアプレミアは中長距離路線に就航する計画だが、清州空港を拠点とするエアロケイと襄陽空港を拠点とするフライ江原は日本路線を視野に入れ、年内の就航を目指している。

韓国の航空会社はFSCとLCC合わせて11社になる。サービス競争は消費者には望ましいが、韓国の航空各社は熟練した操縦士と整備士の人材不足に苦しんでおり、業界関係者は過当競争と専門人材不足、インフラ不足にともなう安全面の懸念を指摘している。


佐々木和義


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