アルメニア語でツイートしたトルコ大統領の胸算用
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月23日 16時30分
これについても懐疑的な見方がある。「トルコのキリスト教徒に最大の影響力を持つアルメニア教会を味方に付ければ、国内外で自分に対する評価が変わると思っている」と、アルメニア人のトルコ研究者バルジャン・ゲガミアンは手厳しい。「しかもエルドアンはオスマン帝国の皇帝に自分をなぞらえたがる。イスラム教徒だけではなく、キリスト教徒をはじめ多様な臣民の支配者を気取りたいのだろう」
トルコとアルメニアは今も正式な国交を結んでいない。両国の国境は封鎖され、主にロシア兵が警備に当たっている。
1915年の事件はとげのように両国間に突き刺さったままだ。アルメニアはジェノサイドと認めるようトルコに要求しているが、トルコは「根拠なし」と突っぱねている。エルドアンが国内のアルメニア系の懐柔をもくろんでも、アルメニアとの真の和解はまだまだ遠そうだ。
<本誌2019年03月26日号掲載>
※3月26日号(3月19日発売)は「5Gの世界」特集。情報量1000倍、速度は100倍――。新移動通信システム5Gがもたらす「第4次産業革命」の衝撃。経済・暮らし・医療・交通はこう変わる! ネット利用が快適になるどころではない5Gの潜在力と、それにより激変する世界の未来像を、山田敏弘氏(国際ジャーナリスト、MIT元安全保障フェロー)が描き出す。他に、米中5G戦争の行く末、ファーウェイ追放で得をする企業、産業界の課題・現状など。
クリスティナ・マザ
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