ブレグジットを迷走させる、離脱強硬派の「メイ降ろし」と愚かな誤算
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月26日 15時20分
デービッド・キャメロン前首相が、国民はEU残留を選ぶに違いないと根拠のない自信を抱いたために、16年の国民投票が実施されることになった。そして17年には、保守党は地滑り的な勝利を収めるに違いないと、メイが奇妙な確信を抱いたために、解散・総選挙が行われた。結果的に保守党は労働党に30以上の議席を奪われ、議会における圧倒的過半数を手放した。
そして今、離脱強硬派はブレグジットを遅らせて失敗させることが、将来の自分たちの政治的成功のカギだと考えているようだ。だがその確信は、過去の例と同様に、読み間違いだったと判明する可能性が高い。
10日夜、メイが土壇場でEUと離脱案に合意したというニュースが広がると、英議会にはかすかな楽観論が広がった。11日深夜、保守党のニック・ボールズ議員は、翌日の採決で離脱案に賛成票を投じるよう、ツイッターで与党議員たちに呼び掛けた。「ここで勝利を手にしよう。離脱案に賛成するんだ」
だが翌日、離脱強硬派は相変わらず「ノー」を突き付けた。彼らはボールズのツイートを最後まで読まなかったのかもしれない。「もし(賛成票を)投じないなら、君たちは何にも満足しないのだと私は判断する」と、ボールズは警告している。「そして君たちが嫌がることを何だってしてやる」
From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年03月26日号掲載>
※3月26日号(3月19日発売)は「5Gの世界」特集。情報量1000倍、速度は100倍――。新移動通信システム5Gがもたらす「第4次産業革命」の衝撃。経済・暮らし・医療・交通はこう変わる! ネット利用が快適になるどころではない5Gの潜在力と、それにより激変する世界の未来像を、山田敏弘氏(国際ジャーナリスト、MIT元安全保障フェロー)が描き出す。他に、米中5G戦争の行く末、ファーウェイ追放で得をする企業、産業界の課題・現状など。
スティーブン・パドゥアノ(ジャーナリスト)
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