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「日本越え」韓国経済の落とし穴

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月3日 17時0分

そのため、中長期的に見れば韓国は技術面で先行する日米欧を追いかけてはいるが、工業国として急速に力をつける中国に追い上げられ、成長余地は狭まる一方である。グローバルな競争力が低下すれば、ウォン相場安定の源泉である貿易収支の黒字幅は縮小、場合によっては赤字に転じる可能性すらある。いかにして今後も技術力、製品力を高めていくかが持続的な成長への大きな課題であり、その道のりはこれまでのように他の先進国によって踏み固められた平坦なものではない。

日韓の「ケンカ」で得するのは誰か

さらに言えば今後、アジア各国が米中2大国の狭間でそれぞれの立ち位置を模索する中、高い中国依存の経済構造は必ずしもバランスの良いものではなく、既に取り組みつつある脱中国依存の動きを加速させる必要があろう。そのうえで、米中と適度な距離感を保ちつつ自国の利益を確保するため、自らの存在感を両国に十分認識させる必要がある。しかしながら、それを単独で実現することは、特に中国の経済成長によって徐々に困難となっていくであろう。

前述のような日本と韓国の貿易関係を見れば、両国が相互依存の下で経済成長を続けていることは明らかで、米中が軸となる新たなグローバル市場において一定の存在感を維持するために、経済的な連携は一段と重要となるはずである。政治的な対立によって日韓両国が競争力を削がれることで、誰が利益を得るのか――。経済的な観点から、日韓双方に冷静かつ合理的な判断が求められるということだろう。

武田 淳(伊藤忠総研チーフエコノミスト)


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