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「令和」に関して炎上する中国ネット

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月4日 12時40分

コメントの中には「日本には、平成時代に初めて中国に追い越されたという焦りがあり、漢籍などを典拠にしてなるものかというナショナリズムが、日本の国書に典拠を求める動きへと向かわせていったのだろう」という類の分析が数多く見られた。

「環球時報」の「多かれ少なかれ、中国の影響から逃れることは出来ない」という趣旨の論評も、ネットユーザーを刺激している。

菅官房長官にしても安倍首相にしても、「日本の国書」に典拠したと言っただけで、中国古典を排除したとは言ってないのだから、こういった中国側の批判的コメントは迷惑ではある。

中国政府あるいは中国共産党側が「脱中国化」と自ら言っておきながら「脱中国化なんてできるものか!」と日本を誹謗するのは、少々滑稽な構図と映る。

それでも、中国のネットユーザーが指摘する、「なぜ『于時』をカットして発表したのか?」というコメントには、日本国民の一人としても「知りたい」という気持ちがあるのを否定することはできない。まさか、新元号に関する有識者懇談会のメンバーが、張衡の『帰田賦』には「於是」があり、万葉集の当該部分には同じ発音の「于時」があるのをご存じなかったわけではあるまい。ご存じの見識者たちであると信じている。

となれば、「于時」まで入れて典拠を公表すれば、あまりに『帰田賦』との類似性が明瞭になってくるから、わざと省略したのだろうという、中国のネットユーザーたちの批判的指摘が、多少の正当性を持ってしまう。

中国人が何と言おうと気にすべきではないのは言うまでもないが、不愉快ではないか。神聖な新年号であるだけに、そういう疑念は残したくないので、元号選定に関わった関係者が明らかにして下さるとありがたい。

特に4月3日に共同通信が、<「令和」最終段階で追加 政府要請で中西氏提出か>という見出しで、以下のような記事を報道している。

――政府が新元号に決定した「令和」は、選定作業が最終段階を迎えた3月中旬以降、候補名に追加されたことが分かった。(中略)政府は有識者懇談会で国書(日本古典)の採用を事実上促し、令和に決定した。複数の関係者が3日、明らかにした。(中略)政府関係者によると、令和は3月上旬の段階では候補名になかった。(ここまで引用)



このような報道を見ると、なおさらのこと、ここに書いた疑念を晴らしてほしいという気持ちが強くなる。筆者は個人的には「令和」は良い年号だと思っているし、この音の響きが好きだ。しかし、4月3日の共同通信のこの報道が事実なら、それは多くの日本国民が抱いているであろう「清々しく、澄んでいた純粋な気持ち」に水を差すのではないだろうか。

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