女が醜いからレイプ男は無罪?
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月11日 16時50分
<レイプで訴えられた容疑者は、被害女性は「レイプするには醜すぎる」と言い、判事も「マッチョすぎて、レイプされたというのは信じがたい」と同調。まるで中世の判決だと、非難されていた>
イタリアの最高裁は、レイプしたか否かの判断に被害者の美醜は関係ないという判断を示した。被害を訴えた女性は「レイプするには醜すぎる」のでやっていない、とした容疑者2人の主張に同調し、無罪とした2017年の悪名高い判決を覆すものだ。
英ガーディアン紙によればこれは、22歳のペルー人女性が2015年3月に2人の南米人男性にレイプされたとして告発した事件。2人の男は2016年にいったん有罪判決を受けたが、控訴した。そして2017年11月、無罪判決が下った。3人の女性判事が、被害女性はマッチョな体形をしていて、レイプされたという訴えは信用できないと主張したため。
ローマの最高裁は先月、その無罪判決を破棄して控訴審に差し戻し、4月9日にこの判断の理由を説明した。それによれば、被害者の外見は「まったく無関係」で、証言の信用性を評価する基準にもならないと述べた。
被害女性の主張では、2人の容疑者は彼女の飲み物に何かを混入しておいて、彼女をレイプした。その間、男の1人は見張りにあたったという。医師たちは、彼女の怪我がレイプによる怪我と一致すると証言した。彼女の血液からは、デートレイプ薬の痕跡も発見された。
男たちを無罪にした判事は、被害女性の容姿と、「魅力は感じなかった」という容疑者たちの言葉を根拠に彼らを無罪とした。容疑者の1人が彼女に「海賊」というあだ名をつけているという証言もあった。
控訴審の判事らは、「熱狂的な夜を企画」したのは「被害女性」自身だった「可能性も捨てきれない」とし、容疑者が性的に彼女に魅かれるにはガッチリしすぎていて、レイプされたという証言は疑わしいと言った。
この判決にイタリアでは抗議デモが起こり、多くの市民が女性に対する暴力を非難し、この判決を「まるで中世」と怒りを表した。レイプかレイプではないかの判断を狂わす驚くべき偏見は今もまかり通っている。今回是正されたとはいえ、まだまだ氷山の一角だ。
※4月16日号(4月9日発売)は「世界が見た『令和』」特集。新たな日本の針路を、世界はこう予測する。令和ニッポンに寄せられる期待と不安は――。寄稿:キャロル・グラック(コロンビア大学教授)、パックン(芸人)、ミンシン・ペイ(在米中国人学者)、ピーター・タスカ(評論家)、グレン・カール(元CIA工作員)。
デービッド・ブレナン
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