令和と天皇──皇室制度はこれからも時代に順応する
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月11日 17時30分
「国は党派に分かれるが、王位に党派はない。(君主は)世の中の出来事から明らかに隔絶されることによって、憎しみと冒瀆から解放され、神秘性を保ち、対立する党派の気持ちを1つにまとめることができる」
この意味を誰よりも知っているのは、イギリスのエリザベス女王だ。65年を超えるその在位の間に、イギリスは政治も社会もあらゆる激変を経験してきたが、議論の分かれる問題に関して女王は慎重に中立を貫いている。
王位継承第1位のチャールズ皇太子は長い待ち時間の間に、女王とはかなり違う道を歩んできた。環境保護や都市計画、遺伝子組み換え食品、農業への補助金など、大きな政治的争点について、個人の意見を公言するだけではない。閣僚に度々書簡を出して働き掛けているのだ(即位したら、こうした活動はやめると表明している)。
皇太子徳仁は天皇として、これまでと違う新しい問題に直面するだろう。日本の社会はかつてないほど多様化され、進化している。皇室に対するメディアの敬意は薄れている。皇室制度は国民から強く支持されているが、生前退位をめぐる騒動や女性天皇問題が示すように、その役割は流動的だ。
一方で、皇室制度はこれからも時代に順応するだろう。目まぐるしく変わる世の中で、君主制はますます重要になる。その逆ではない。君主制は過去と未来をつなぎ、私たちがどういう国なのかを思い出させてくれる。
<2019年4月16日号掲載>
※この記事は本誌「世界が見た『令和』」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。
【関連記事】令和フィーバー:使いづらいものの発表にお祭り騒ぎの愛すべき日本
ピーター・タスカ(経済評論家、英国出身)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
天皇陛下だけが足を運ぶ「歪な皇室外交」でいいのか…両陛下の「英国訪問成功」を手放しで喜んではいけないワケ
プレジデントオンライン / 2024年7月6日 9時15分
-
天皇皇后両陛下の英国国訪問は成功 英紙「日英関係の黄金時代となる」
東スポWEB / 2024年7月2日 18時54分
-
「次世代につながる訪英に」天皇・皇后両陛下のイギリス留学“秘話”と愛子さまへの期待
週刊女性PRIME / 2024年7月2日 8時0分
-
国会の議論はあっという間に行き詰まった…皇位継承問題の解決をこじらせている最大の阻害要因
プレジデントオンライン / 2024年6月28日 8時15分
-
<皇室の課題>このままでは自然消滅も=危機回避へ国民の7割超が「女性天皇」支持、容認論に勢い
Record China / 2024年6月12日 8時0分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください