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新元号「令和」で占う、日中関係の行方

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月19日 17時0分

理屈の上では、説得力のある戦略だ。とはいえ実行となれば、中国の行く手には深刻な制約が立ちはだかる。



問題の1つは、アメリカの封じ込め戦略と距離を置く動機づけとして、日本に何らかの譲歩をする用意があるかどうかだ。中国は少なくとも、領有権問題や南シナ海での覇権拡張行動、軍事力強化、一帯一路など、日本にとっての主要な懸念に対処する必要がある。もっとも、その多くは習が主導する政策であり、日本の意を迎えるためだけに大規模な見直しを行うことは考えにくい。

もう1つの問題は、日本が根本的に70年来の同盟国であるアメリカのほうを戦略面ではるかに信頼していること。いざとなれば、日本政府はほぼ確実に中国ではなくアメリカを選ぶだろう。

こうした地政学的現実は令和時代になろうと劇的に変化しない。そして中国はそうした点をはっきりと認識している。

となれば、今後の日中関係を占うことは難しくない。表面的には友好ムードが高まり、対立は減るだろう。だが日中関係の本質は、これからもこれまでどおりだ。

<本誌2019年04月16日号掲載>



※4月16日号(4月9日発売)は「世界が見た『令和』」特集。新たな日本の針路を、世界はこう予測する。令和ニッポンに寄せられる期待と不安は――。寄稿:キャロル・グラック(コロンビア大学教授)、パックン(芸人)、ミンシン・ペイ(在米中国人学者)、ピーター・タスカ(評論家)、グレン・カール(元CIA工作員)。


ミンシン・ペイ(クレアモント・マッケンナ大学教授)


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